長期観測型海底地震計を用いた伊豆小笠原西之島火山の連続地震モニタリング観測

Masanao Shinohara1 , Mie Ichihara1, Shin’ichi Sakai1, Tomoaki Yamada1, Minoru Takeo1, Hiroko Sugioka2,
Yutaka Nagaoka3, Akimichi Takagi3, Taisei Morishita4, Tomozo Ono4 and Azusa Nishizawa4

1 Earthquake Research Institute, The University of Tokyo. 2 Department of Planetology, Graduate School of Science, Kobe University. 3 Meteorological Research Institute, Japan Meteorological Agency. 4 Hydrographic and Oceanographic Department, Japan Coast Guard.

Earth Planets Space 69:159, DOI;10.1186/s40623-017-0747-7 , 2017.

伊豆小笠原島弧に位置する西之島は2013年11月に噴火活動を開始し島の面積が拡大した。火山の形成過程の研究には連続したモニタリング観測が重要であるが、このような遠方の無人島では連続観測の実施は難しい。そのため、我々は2015年2月から西之島近傍において長期観測型海底地震計(LT-OBS)を用いた観測を開始した。使用したLT-OBSは1年程度連続観測が可能であり、回収・再設置を繰り返すことにより連続観測を実施した。LT-OBSは西之島火山火口から13km以内に設置した。噴火が発生している期間では特徴的な波形をもつイベントが多数記録されていた。西之島近傍の観測船上におけるビデオカメラと空振計の記録と比較したところ、この特徴的なイベントは火口からの噴煙上昇と関係していることがわかった。火山活動を把握するためにSTA/LTA法によるイベント検出を行った。その結果、2015年2月から7月にかけては1日あたり1800個程度のイベントが発生していることがわかった。イベント数は同年7月から減少を始め、11月には1日あたり100個以下となった。表面活動の観察では噴火活動は11月に停止したと推定されている。特徴的なイベントは、2017年4月中旬に再び発生し始め同年5月下旬には1日あたり約1400個に達した。このように、海底地震計を用いた海底地震観測は島嶼火山活動の連続モニタリングに有益であることがわかった。