【研究速報】2021年2月13日23時07分 頃の福島県沖の地震

最終更新日2021年2月15日
ウェブサイト立ち上げ2021年2月14日

2月13日23時07分頃、福島県沖で起きた地震についての情報を、ここで更新してまいります。

*報道関係の皆さまへ:図・動画等を使用される際は、「東京大学地震研究所」と、クレジットを表示した上でご使用ください。また、問い合わせフォームよりご連絡ください。


2011年東北沖地震による2021M7.3福島沖地震への影響

2021年2月13日,福島沖(37.6°N, 141.5°E)でMj7.3の福島沖地震が発生し、最大震度は福島県と宮城県で震度6強であった.この地震は東西圧縮の逆断層タイプであり,沈み込む太平洋プレートのスラブ内地震であると考えられる.この地震に2011年M9東北沖地震がどのように影響したかは,今回の地震の発生メカニズムを考える上で重要である.

ここでは,Freed et al. (2017),Becker et al. (2018)による2011年東北沖地震後の応力変化モデルをもとに,福島沖の震源域付近の応力変化をプロットする.Freed et al. (2017) は2011年3月11日以降3年間の地殻変動データをもとに,日本列島下の粘性構造と余効すべり分布を求めた.これにもとづき,Becker et al. (2018) は東北沖地震後の粘弾性緩和と余効すべりの影響を考慮した地下の応力場の時間変化を計算した.

図1は緯度38°Nの地下断面における東北沖地震による応力の時間変化である(東北沖地震以前の応力を0とした).左列は平均法線応力成分 (σ112233) / 3 および地殻変動ベクトル,右列はvon Mises応力および震源球(側面表示)による応力パターンをあらわす.平均法線応力成分を見ると,上盤側が広く伸張的である一方、震源域を含む下盤側は圧縮的な応力変化を受けている.一方、剪断応力をあらわすvon Mises応力と震源球のパターンを見ると,震源域では剪断応力が~1 MPa程度増加し,東西圧縮を受けている.この応力変化は,今回の福島沖地震の震源メカニズムと調和的であり,東北沖地震が今回の地震をトリガーした可能性を示す.

今後,より正確な応力変化の見積もりのために,10年間の地殻変動データにもとづく粘弾性緩和と余効すべりの影響を含んだ応力変化モデルを求める必要がある.

(地震予知研究センター 橋間昭徳)

参考文献

  1. Freed, A. M., A. Hashima, T. W. Becker, D. A. Okaya, H. Sato, and Y. Hatanaka (2017), Resolving depth-dependent subduction zone viscosity and afterslip from postseismic displacements following the 2011 Tohoku-oki, Japan Earthquake, Earth Planet. Sci. Lett., 459, 279-290.

2. Becker, T. W., A. Hashima, A. M. Freed, and H. Sato (2018), Stress change before and after the 2011 M9 Tohoku-oki earthquake, Earth Planet. Sci. Lett., 504, 174-184, doi:10.1016/j.epsl.2018.09.035.


W-phase解析結果 (モーメントテンソル解)
 世界中で観測された、この地震による地震波の記録からWフェーズを取り出し、Kanamori and Rivera (2008)の方法で解析した モーメントテンソルインバージョンによるメカニズム解です.

(地震火山情報センター 鶴岡 弘)