第10回(平成15年度第2回)火山噴火予知研究協議会議事概要

日  時:平成15年10月29日(水)13:30〜17:00
場  所:東京大学地震研究所第2会議室

1.前回議事概要(案)が了承された。

2.オブザーバーについて

 議長から、火山噴火予知研究推進センター客員教官の大島助教授、筒井助教授、地震研究所アウトリーチ担当の土井助教授、火山噴火予知研究推進センター武尾教授が参加している旨紹介があった。また、産業技術総合研究所宇都浩三氏が「客員教官について」の議題後から出席する旨説明があった。

3.平成16年度客員教官について

 藤井(敏)委員から配布資料に基づき候補者の説明があった。質疑応答の後、「火山噴火予知研究推進センター客員教官候補者選出に関する申し合わせ」に基づく平成16年度客員教授候補として石原和弘(京都大学防災研究所教授)と平林順一(東京工業大学火山流体研究センター教授)の2名が、また、客員助教授候補として橋本武志(北海道大学大学院理学研究科地震火山観測研究センター助教授)と筒井智樹(秋田大学工学資源学部助教授)の2名が選出された。本件は今後共同利用委員会および教授会の審議を経て採択されることになる。
 
4.平成15、16年度火山体構造探査、集中総合観測について

1)平成15年度進捗状況について
 渡辺・鍵山両委員から9月初旬に富士火山において実施した構造探査について説明があった。続いて、平林委員から、8月下旬から9月に草津・白根火山で実施した集中総合観測についての報告があり、研究結果は年度末までには出版する予定であること、さらに、これに関する研究集会を平成16年7月〜9月頃に実施したい旨付言があった。

2)平成16年度火山体構造探査、集中総合観測について
 石原委員から口永良部島の火山体構造探査計画について報告があった。同島は活動期にあるため安全を最優先に計画を進めること、20〜30名規模の参加となること、5〜6mの発破深度であることなどの説明があった。
 藤井(直)委員から配布資料に基づき御岳山の集中総合観測計画について報告があった。人工震源は使用せず、自然地震を使用すること、山頂積雪(10月〜5月)のため観測実施期間が限られるなどの説明があった。さらに、参加希望者は研究テーマ毎の担当者宛個別に連絡していただきたい旨付言があった。

5.平成17年度およびそれ以降の火山体構造探査、集中総合観測について

 清水委員から今後の構造探査・集中総合観測の実施案について説明があり、それに基づいて平成17年度以降の実施方法や体制について議論した。火山体構造探査と集中総合観測を上手く連携させて、内容的にも経費的にも弾力的に運用すること、大学の法人化後も噴火予知経費が効率的な使用が可能になるようになること、外注や解析のマニュアル化導入を行うなどしてできるだけ研究者に時間的負担をかけなく考慮すべきなどの意見が出された。その後、火山噴火予知研究センターから、平成17、18年度の対象火山は浅間山とし、火山体構造探査(2年間)と総合集中観測(1年間)を実施することが提案された了承された。そこでは、平成17年度は爆破実験を実施しない。平成18年度に関しては浅間山と御岳山のペアになることも有り得る。
 上に関連して、法人化後の予算配分方法構想について文部科学省大城オブザーバーからの紹介があった。火山体構造探査・集中総合観測の今後の実施体制に関して、調査・観測項目の設定、各大学の分担を決定など、当該調査観測の必要性を財務省担当官が分かるような理由書を作成する重要性が確認され、清水・鍵山両委員が責任をもって平成15年12月までに取りまとめることとなった。
 筒井オブザーバーから火山体構造探査、集中総合観測はその手法、経費・人的面で転換期に差しかかっており、若手研究者のためにも継続性必要性を真剣に議論すべきで時期であり、両プロジェクトに柔軟に対応する必要がある旨の意見が述べられた。これに関連し、渡辺委員から、従来個別にまとめられていた各火山の構造探査の解析結果を共通のデータベースとし、その解析ソフトが誰でも使えるようなものに開発して欲しい旨要望があった。これに対し、石原委員長から、筒井オブザーバーを中心にそれを作成して欲しい旨依頼があった。 

6.法人化について

・山下地震研究所所長から法人化の進捗状況について説明があり、共同利用研究所長懇談会、会国立10大学理学部長会議などの活動状況が報告された。
・宇都オブザーバーから、先行独立行政法人としての経験が紹介され、評価の仕組みや評価への対応の煩雑さなどについても具体的に説明された。
・大城オブザーバーから来年度文部科学技術振興調整費が重要課題問題解決型で募集予定であり、「安心・安全」というキーワードの中に、都市防災、巨大災害の被害軽減化を軸に据えたもの(11月に総合科学技術会議で募集分野決定、1月募集予定)であることが紹介された。

7.その他

・岡田委員から、法人化後「宿直・日直」はどう扱われるかといった質問があり、各機関での対応について情報交換を行った。
・中田幹事から、地震研究所共同研究および共同利用の申請は11月14日(金)締切りである旨発言があった。
・石原議長から、京大防災研究所の共同研究および共同利用に関しての募集要項は12月に発表する。また、インドネシア地震局との共同研究協定を5年間延長した旨の報告があった。
・宇都オブザーバーから、各大学と共同研究や委託研究などを実施するなどし、産業技術総合研究所が連携を保って火山噴火予知研究を進めてゆきたいこと、研究成果は紙媒体だけでなくCD-ROMでも積極的に公表することなどが紹介された。
・大島オブザーバーからは、先に実施した駒ケ岳火山体構造探査の研究成果説明会が地元一般市民を対象に10月30日に行われることが紹介された。
・次回協議会は本年度末までに開催を予定している。

戻る