第11回(平成15年度第3回)火山噴火予知研究協議会議事概要

日  時:平成16年1月26日(月)13:30〜17:00
場  所:東京大学地震研究所第2会議室

議 事

1.前回議事概要(案)が了承された.

2.次期委員の選出について (配布資料11−2)

3.石原議長から配布資料に基づき,次期(平成16年4月1日から)委員構成について説明があり,承認された.

1)委員の交代
 東北大学大学院理学研究科地震・火山予知研究観測センター植木貞人助教授から五十嵐丈二教授へ

2)委員の辞任
 北海道大学大学院理学研究科           宇井忠英教授
 兵庫県立姫路工業大学大学院理学研究科      井田喜明教授

3)新規委員
 東京大学地震研究所火山噴火予知研究推進センター 武尾 実 教授
 東京大学地震研究所地震予知情報センター     土井恵治 助教授(アウトリーチ推進室)

4.富士山構造探査の解析状況・結果について(配布資料11−3)

 渡辺委員から配布資料に基づき,科学技術振興調整費による富士火山の観測研究のこれまでの研究成果,本年度の研究計画進捗状況,次年度以降の研究計画について説明があった.委員から,研究期間終了後,研究に使用した観測用ボアホール等の観測機器・観測現場はどうするのか.また,それらを今後とも維持管理するとしたらその研究経費はどう手当てするのかといった質問があり,藤井委員から当面は地震研究所の何らかの経費を充当しながら観測を継続できるよう対応する旨の発言があった.


5.平成15年集中観測の実施状況

草津・白根観測の実施状況について平林委員から説明があった.


6.平成16年度口永良部島構造探査実施計画について

石原委員から,配布資料に基づき平成16年度構造探査(口永良島実施計画)について説明があった.昨年度末から準備に入っている.宿泊施設が限られるため40名程度,12班編成で160〜170点の観測網を作る予定である.気象庁側からも参加希望の意向を受けている.


7.平成17年・18年度浅間山構造探査・集中観測について

鍵山委員から配布資料に基づき説明があった.調査対象範囲を30kmないし15kmとする.電磁気探査と自然地震および人工地震による探査を実施する.この観測研究で使用する機器は,現在富士山で使用している機材とする,富士山の探査で設置を担当した機関にも再度移設をお願いしたい.また,2月26日(木)〜27日(水)に富士山の研究成果を含めた研究集会を開催し,その中で浅間山の研究目標を議論する.石原議長からこの計画(案)について意見がなければこの(案)で実施することとし,各機関においてはその研究計画準備を進めていただきたい旨の発言があった.


8.科学技術振興調整費による研究について

1)平成15年度の現状と平成16年度の計画
 渡辺委員から平成13年度−平成15年度の科学技術振興調整費による研究の成果報告があり,質疑応答があった.

2)次期研究の提案
 武尾オブザーバーから配布資料に基づき,説明があった.対象を浅間山と桜島として「安心・安全」のキーワードで重要課題解決型研究の枠で申請する.藤井委員から,科学技術振興調整費は経費の性格として,科学研究費補助金とは異なり政策的な計画研究であることが重要であるので,その点に注意して作成している,安心・安全の大きなくくりの中で,火山としては減災というキーワードで出す,理学の分野のみでは認められにくいので社会的要請を背景として立案する,観測機器やデータ送受信の装置の開発も重要である,宇都オブザーバーから,この計画でのハザードマップの位置付けについて質問があり,武尾オブザーバーから,もう少し長期的な部分で取り組むことだと考えているとの回答がった.宇都オブザーバーからは,防災工学的なハザードマップとの兼ね合いについてヒヤリングで聞かれることが予想されるのでその対応を準備すべきである旨の発言があった.文部科学省から,研究期間経過後の機械・設備・人員などに係る経費を要求することは無理であるので,その財源をあらかじめ考えておく必要がある旨付言があった.


9.その他

1)国立大学の法人化に関する情勢について
 山下所長から国立大学の法人化に関する現状報告があった.文部科学省から,各大学に配分される運営費交付金の中身はそれぞれの学内でのルールにより競争し獲得していただくものである旨の発言があった.これを受け各大学の状況に関する質疑応答があった.今後,火山噴火予知研究協議会(予知協)の特徴(機関間の連携による研究プロジェクトの実施)を生かした対応をすることの必要性はますます重要なものとなる,法人化に際して事態が大学により異なり,かつ流動的であるので,今後もどのように対応すればよいかを判断するための情報の交換を密にして適宜対応してゆくことが了解された.

2)平成16年度予算案について
 文部科学省から,事業費についてはプロジェクト経費として扱う,従来の額以上の経費を獲得するためには,事業費の積算の仕方,内容の確認,特色ある研究経費であることを強く訴えることが必要である旨の発言があった.
 17年度の事業費はプロジェクト経費として立ち上がる.各大学からは地震・火山研究経費として要求する.学内での説明を突破すれば獲得することができる可能性が高いと思われるが,旅費と消耗品だけの組み立てでは経費の内容説明が弱いと思われる.社会的ニーズを踏まえて各大学が立てている中期目標の中で,地域内とどのような関連をつけているかが大切である旨の発言があった.
 藤井委員から火山噴火予知研究協議会には地震予知研究協議会の「企画部」に相当するものがなく,コミュニティー全体にかかる火山予知研究事業費を調整する役わりを客員教員に担っていただきたいとの発言があった.石原議長から来年度の調整は藤井委員にお願いし,各委員はH17年度の概算,H16年度の経費取扱いなどの諸情報を藤井委員に連絡するよう依頼があった.
 
3)その他
・次期の議長・副議長については次の委員会で選出する.
・藤井委員が4月から学内理事会のメンバーになるため,センター長を4月から中田教授に変更することが報告された.
・これまで特別会計で獲得した設備・施設はどう維持管理するのかとの質問があり,文部科学省から,文部科学省ではその予算措置はできず,学内で競争的に獲得することとなる旨の発言があった.
・渡辺委員から,気象庁とのデータの交換・提供に関し,現在(案)を検討しているようだが,どの程度まで進んでいるのかとの発言があり,質疑応答があった.宇都オブザーバーから,運営費交付金で獲得したデータ情報は,あるルールによって提供する必要があるとの発言があった.文部科学省からは,データそのものが研究目的や防災目的で蓄えたものであれば無償で提供すべきであるが,そのデータ提供のために経費がかかる.これをどうするかは問題である.学問的なデータと知的財産としてのデータの取扱いはどう違うのか,といったことをどこかで統一的に検討すべきであるとの発言があった.これを受け,今後,関係各機関と各大学法人との間における「データ流通におけるガイドライン」を渡辺委員が取りまとめることとなった.

・次回は5〜6月ころに開催する.


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