SRTM(Shuttle Radar Topography Mission) と
航空機搭載3次元SAR(PI-SAR)の同時観測実験計画
Airborne SAR (PI-SAR) Experiments for Evaluation of SRTM (Shuttle Radar Topography Mission)

浦塚清峰、小林達治、梅原俊彦、灘井章嗣、佐竹 誠、松岡建志(通信総合研究所)
Seiho Uratsuka, Tatsuharu Kobayashi, Toshihiko Umehara, Akitsugu Nadai, Makoto Satake, Takeshi Matsuoka (Comm. Res. Lab.)
連絡先:浦塚清峰(pata@crl.go.jp)

Abstract:
The SRTM program is a NASA’s space shuttle mission(STS-99) to measure ground topography by single-pass interferometry. The shuttle is expected to be launch in early October. Airborne SAR(PI-SAR) interferometry is planned to observe at this time for evaluating the X-SAR/SRTM DEM products. The experiment is an application of the German DLR’s research announcement. Mt. Fuji and Tomakomai forestry field are test fields of this experiment.

 1.はじめに
干渉SARの手法は、天候や日射条件に係わらず地上の地形を非常に高い精度で観測することができるが、これまで衛星SARによってなされている干渉SARは、リピートパスでのデータを利用するため、干渉性やベースラインが自由にならない、時間的に変動を伴う場所ではその分離が難しいなどの課題が残っている。同時刻に固定ベースラインをもつシングルパスの干渉SARは、地形観測に均質なデータを与えることができ、これまでは航空機搭載SARで実現されてきている。こうしたなかで、スペースシャトルを用いた宇宙からのシングルパス干渉SAR観測が、まもなく開始されようとしている。このミッションは、SRTM (Shuttle Radar Topography Mission)と呼ばれ、1994年に実験が実施されたSIR-C/X-SAR(Shuttle Imaging Radar ?C)のレーダのCバンドおよびXバンドの装置を用いてシングルパス干渉SARによる地上の地形観測を実施するものである。通信総合研究所は、この実験に際してのドイツDLRの実験公募に応募、採択され、航空機SARを用いた実験を実施する。

2.SRTM(STS-99)
SRTMはSTS-99(Endeavor)の単独ペイロードとして搭載され、1999年9月打ち上げ予定で11日間の観測を行う。SRTMのSARは、SIR-C/X-SARと同じくNASAのCバンドとDLRのXバンドを使用するが、主となるアンテナのほかに、シャトルのカーゴベイからJPLが開発した60mのブームを展開しその先に、受信専用アンテナが取付けられている(Fig.1)。シャトル本体の主アンテナと60m離れたアンテナ間をベースラインとする干渉SARのデータを収集する。レーダの仕様をTable 1 にまとめる。このシャトルの高度、軌道傾斜角は、それぞれ233kmおよび57度であり、北緯60度から南緯57度の間を観測範囲とする。Cバンドによる観測はScanSARを用いてこの領域の陸地ほぼすべてを網羅する。Xバンドは、約80%のカバレージである。

Table 1. Radar spec. of SRTM radar
 
C-band X-band
Frequency 5.3GHz 9.27GHz
Polarization Full Polarimetry VV
Incidence angle 20-60°  20-60°
Swath width 100-500km 100-500km
Image resolution 100m  30m
DEM size 15’x15’ in lat. & lon. 5’x15’ in lat. & lon.
DEM resolution  30m 30m
Baseline 60m 60m
HeightAccuracy 10mrelative 6mrelative
Orbit 57°inclination
Altitude  233km


Fig.1  SRTM with 60m boom on board STS-99(Endeavor)

3.実験公募
この実験に対し、NASAおよびDLRからそれぞれ独立に実験公募(Research Announcement)がなされ、通信総合研究所は、DLRの公募に対して応募し以下の課題が採択された。
Interferometric DEM Assessment using X-SAR/SRTM and Airborne SAR
データは、東西15分、南北15分のDEMおよび観測幅20kmのイメージデータがPIに配布されるが、その時期は実験後約1年の予定である。なお、DLRからはXバンドによるプロダクトのみが提供される。

4.航空機SARによる同時観測実験
本実験の目的は、SRTM(X-band)のDEM生成に対し(1)高精度DEMとの誤差評価(2)斜面の局所入射角の影響(3)植生による影響を調べることである。これらの検証を行うため、(a)富士山および(b)北海道苫小牧の実験林を実験サイトとして、航空機搭載3次元SAR(PI-SAR)観測および地上実験を実施する。PI-SARの主な諸元をTable 2に示す。
SRTMのXバンドのデータは、(a)がascendingの1パス、(b)がascendingとdescendingの2パスの取得が予定されている。

Table 2. Principal Specification of PI-SAR
 
X-band L-band
Frequency 9.55GHz 1.27GHz
Polarization Full Polarimetry Full Polarimetry
Incidence angle  10-75° 20-60°
Swath width  19.3km for VV InSAR

4.3km for full function
19.6km
Resolution 1.5m  3m
Baseline  2.3m
HeightAccuracy 2m
Platform GulfstreamII
Altitude 12,000m

 

5. おわりに
SRTM実験は、当初1999年9月16日の打ち上げ予定であったが、シャトル本体の点検のために延期され、8月末時点で10月はじめ以降のスタートに変更されている。