1993年日光周辺域合同観測

1.研究のねらい
 日本列島の内陸部で起こる地震が、どこで、なぜ発生するかを理解するための観測研究を全国の研究者が共同で行っている。1993年には、日光周辺域で、内陸地震発生域の地殻不均質構造と火山体の深部構造を研究するための合同地震観測を行った。この観測のねらいの一つは、これまでに日光周辺域で報告されている地震波反射面について、その空間的広がり、形状、反射体の微細構造を従来より広範囲に、精密に求めることにあった。
 地震波反射面として観測されるものは、マグマ溜りなどの岩石の溶融体である可能性が高い。こうした地殻内に存在する大規模な不均質構造は、広域の応力が集中したり、力学的な弱面を形成するということから、内陸の地震テクトニクスを理解するうえで重要である。

2.観測方法とデータ
 1993年合同観測では、日光周辺のさしわたし80km程度の領域に約40観測点を設けた「広域テレメータ」観測と、足尾町付近の7km程度の狭い地域に約200点の地震計を展開した「超多点アレイ」観測を行った。
 超多点アレイ観測では、超低消費電力型デジタルレコーダを、無線による遠隔制御システムによって一斉起動させる方式を用いた。約1月間の観測期間中に109個の地震が記録された。これらの記録は、CD-ROMに書き込み、主な観測参加機関に配布された。

3.超多点アレイの記録
 超多点アレイで記録されたほとんど全ての浅い地震には、S波の反射波が観測された。地震計の間隔が狭いために、反射波を波形記録上で容易に確認できる。

4.反射面分布
 超多点アレイで記録された色々な地震を用いて、反射点分布図を作った。反射点は、深さ15km程度の北西上がりの面上に分布する。反射面は下に凸であり、一番急傾斜のところでは、45度にもなっている。

(平田 直 地震予知研究推進センター)

                                  
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Mar. 1996, Earthquake Research Institute, Univ. Tokyo.