研究集会

『 破壊現象の数理研究とその周辺 』

 − 地震への応用を念頭に −

地震研究所 堀 宗朗


 研究集会,「破壊現象の数理研究とその周辺」は1999年1月22日(金) から23日(土)まで,地震研究所で行われた.地震は断層が壊れる 過程であるが,ものが壊れるという現象にはまだまだ未解明の部分が 多い.そのため,地震学をはじめ,工学や理学のさまざまな分野で破壊 現象が研究されている.この研究集会は,破壊現象を理論的に解明し ようとする研究者が介した集会である.具体的には,破壊のメカニズム を純粋に数理的な立場からみている数学研究者から,さまざまな構造 物の破壊を数値シミュレートしている計算力学の研究者が中心となっ て参加した.

 研究集会は15件の講演があり,この他,「破壊現象の数理理論と地震 問題への応用の可能性」という題のパネルディスカッションも開かれた. 各講演は,さまざまな分野で行われている破壊現象の理論研究や計 算力学のシミュレーション例が紹介された.実際,抽象的な数理理論 から,破壊現象の大規模数値計算までさまざまな話題が提供され,白 熱した議論が繰り広げられた.特に,パネルディスカッションは,本研究 所の山下教授の特別講演をはじめ,最先端の数理理論や計算手法を 地震現象にどのように応用するか,また,破壊力学の観点からは地震 現象に関しては何が未解決であるか,という点に関して討論が繰り広げ られた.

 参加者の中には,地震研究所を始めて訪れる方もあり,海半球センター, 地震予知推進センター,地球流動破壊部門,地球計測部門の好意で 研究集会の前日にミニツアーが設けられた.地震現象の最新のトピッ クや,高圧岩石実験,ACROSS,火山モデル実験が紹介された.ツアー 参加者一同,最先端の研究に深い感銘を受けていたようである.また, 参加者の一人に,30年前に地震研客員研究員として来日された,現ユー ゴスラビアベオグラード大学のJARIC教授もおり,地震研の発展の様子 に感心されていた.


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1999/3/5