地震研究所ロゴマーク 地震研究所ロゴタイプ 東京大学

地震研究所 お知らせ

宇宙線ミューオンを用いた浅間山火山体内部のイメージングについて

2007年6月15日

地震研究所の田中宏幸研究員を筆頭著者とする「宇宙線ミューオンを用いた浅間山火山体内部のイメージング」に関する論文が、科学誌 Nature のハイライト研究のコーナーで紹介されました。

1.原論文について

著者: 田中宏幸(東大地震研)、中野敏行・高橋覚・吉田純也・丹羽公雄(名大理学研究科)
タイトル: Development of an emulsion imaging system for cosmic-ray muon radiography to explore the internal structure of a volcano, Mt. Asama
掲載誌: Nucl. Instrum. Methods Phys. Res. A575, 489-497 (2007)

要旨: 火山体の宇宙線ミューオンラジオグラフィーを目的とした、エマルションクラウドチェンバーを用いた簡易な粒子線測定装置の開発を行い、(浅間山の)前掛山を透かして釜山の内部構造のラジオグラフィー測定に成功した。データを解析することにより、釜山全体の平均密度を求め、この値を用いて火口浅部(火口縁から100m下)のマグマの体積占有率を求めた。火山活動の理解とモニタリングに向けて、この電力消費ゼロのラジオグラフィーイメージング装置の将来展望を議論する。

2.Natureでの紹介記事について

 上記論文の内容が、Nature 5月24日号のハイライト研究のコーナーで紹介されました。ハイライト研究は、各専門誌に掲載された論文の中からNatureが興味深いものを選び出したもので、田中研究員の論文は、そのトップに浅間山の写真付きで紹介されています。 以下は、その抄訳です。


 宇宙線で中を覗く

 日本の研究者は、宇宙線を活用して火山内部のイメージを得ている。この方法は、以前にピラミッドの内部を探査するのに使われた方法だ。

 東京大学の田中宏幸とその同僚たちは、ミューオンという粒子を捉えるための装置を浅間山近くに設置した。ミューオンは、宇宙線が大気と衝突したときに全方向に放出される。

 そのうちのいくつかのミューオンは火山の岩体を通過した後、装置に届く。途中で吸収されるミューオンの数を数えることで、火山内部の密度を測定することに成功した。装置を増やし、リアルタイムで解析できれば、この方法は噴火予知にも役立つだろう。


 

地震研究所トップページ