地震研究所ロゴマーク 地震研究所ロゴタイプ 東京大学

地震研究所 お知らせ

第5回火山都市国際会議(COV5)が大盛況のうちに閉幕

2007年11月30日

 第5回火山都市国際会議(Cities on Volcanoes 5: COV5)が、11月19日〜23日に長崎県島原市で開催された。COVは、IAVCEI(国際火山学地球内部化学協会)の活動として1998年から2年おきに開催されている国際会議で、アジアで開催されるのは今回が初である。この会議は、火山噴火が人間社会に与える影響、危機管理、防災活動、都市計画などについて幅広い議論を行うことを目的としており、火山学のみならず、工学・医学・社会科学など多岐にわたる分野の研究者、行政・防災関係者、住民が参加するという、通常の学術会議にはない特色がある。

 5日間行われた今回のCOV5には、事前登録した約600人と、当日来場の参加者とを加えた延べ約2700人が参加したことになり、COV史上最大規模の会議となった。国内外の研究者に加えて、行政やマスコミ関係者、小中学生を含む地元及び周辺地域の住民の方々、その他にも火山や防災に関心のある方々が全国から参集した。

 開催地の島原市は、1991年から約5年間にわたる雲仙普賢岳の噴火活動で被災した経験をもつことから、多くの参加者にとって、火山災害の実態や被災からの復興、災害対策について肌で知ることができる絶好の機会となったであろう。

 学術セッションでは、近年の火山学研究の進歩について、火山学をはじめとする多くの分野の研究者により発表が行われた。また、平行して多数のフォーラムやポスター発表が行われ、国内・海外の研究者、行政やマスコミ関係者、住民が一体となり、火山や噴火現象の理解に努め、過去の噴火事例について学び、そして火山災害の軽減策について活発な議論を行った。研究者の視点に留まらず、様々な立場から火山噴火について相互に学び、考え、議論できる場を設けていることが本会議の大きな特色であり、多くの参加者はこの場を通じてCOVの目的を理解していたようである。

 中日の21日には、約400人の参加登録者がバス12台3グループに分かれて普賢岳周辺で巡検を行った。平成新山溶岩ドームを眺望した他、今も残る火砕流や火砕サージ、土石流による爪跡を視察した。最後に地元の小中学校を訪れ、子供達の出し物を通して普賢岳噴火による被災や復興について学び、交流を図った。

 また会議の前後には、各地の火山で巡検が行われ、国内外の参加者は日本の活動的火山の特徴や現況、災害対策などについて詳しく学び、どの巡検も好評を博していたようである。

 会期中、地震研究所からは2ブース(アウトリーチ室による研究所紹介、特定領域研究「火山噴火罹災地の文化・自然環境復元」)を出展し、多くの参加者と意見交換を行った。

 大会実行委員長である中田節也教授(火山噴火予知研究推進センター)の陣頭指揮のもと、日本火山学会、島原市、九州大学理学研究院、東大地震研究所などが約1年半前から着々と準備を進めてきた今回のCOV5では、地元島原市の市民の方々の絶大なる協力もあり、5日間の会議で十分にその成果が発揮され、大盛況のうちに幕を閉じた。

 次回COV6は、2009年にスペインのテネリフェ島(カナリア諸島)で開催される。

(火山噴火予知研究推進センター 前野深)

メイン会場の島原復興アリーナと参加者を出迎える地元の幼稚園児達

白熱した議論が展開された学術セッション

ポスター発表会場(手前)とブース会場(奥)

21日には巡検を実施、千本木地区では火砕流堆積物を観察

中日の巡検では3グループがそれぞれ島原市立第四、第五小学校、
第三中学校を訪れ交流を図った(写真は第四小学校)

フェアウェルパーティでは、会議の成功を祝いつつ別れを惜しんだ

薩摩硫黄島への巡検でも、地元住民を交えてミニシンポジウムを開催

地震研究所トップページ