2.11.6 強震動観測研究

(1) 定常的な強震観測網の運用

伊豆・駿河湾地域や足柄平野などにおける高密度の強震観測網を中心とした観測研究を,強震計観測センターの時代から継続して行っている(図21).伊豆駿河湾の観測網は東海地方での大規模地震発生を想定して,地域を代表する露岩上に設置されている.一方,足柄平野の観測網は表層地質による強震動への影響を評価することを主目的として1987 年度に設置され,国際的なテストサイトとしても位置づけられている.これら強震観測網によって,最近の例では2009 年駿河湾の地震や2011 年東北地方太平洋沖地震の強震動をとらえることに成功している.

(2) 他機関との共同強震観測

強震動の生成過程や,建物の挙動の調査研究等を目的とした強震観測を,信州大学・福井大学などの他大学・他機関と共同で実施している.

(3) 臨時強震観測の実施

開発された機動観測用強震計を用いて,2011 年東北地方太平洋沖地震などの余震強震観測を行った.この機器は微動観測にも対応可能な増幅器を併せ持ち,高知市や新潟県三条地域などでの微動探査にも活躍した.また,共同利用の枠組みなどを通して機器の貸し出しが可能な体制を取っている.

(4) 強震観測データベースの公開

2009 年度より,観測された強震動記録のアーカイブと公開を行うデータベースシステムの開発を進め,そのシステムを用いて2010 年度にデータ公開を開始し,以後,引き続き公開を行っている(http://smsd.eri.u-tokyo.ac.jp/smad/).