3.1 執行体制

研究所の運営は,所長を中心とした企画運営会議で方針や具体的内容が協議され,教授会における審議・決定に基づいて実施される.企画運営会議は,所長の他,副所長,予算委員長,将来計画委員長,学術企画室長,事務長他若干名から構成され,毎月1回の定例会議に加えてほぼ毎週ミーティングを実施し,概算要求,教員ポスト要求,制度設計,規則整備・改正,学内他部局・国内外他機関との連携,教育改革・国際化検討,労働契約法改正対応など,継続的に様々な懸案事項を協議してきた.この5年間では,東大本部に対する教員採用可能数再配分要求により,高エネルギー素粒子地球物理学研究センター,地震火山噴火予知研究推進センター,巨大地震津波災害予測研究センターに合計4名のポストを獲得するなど,新センターの発足・強化に関わる運営方針の原案を作成するともに,情報学環や京都大学防災研究所との連携を進めた.

学術企画室では,概算要求や大型科研費等の外部資金への応募シーズの開拓・育成を目的として,毎年萌芽研究の所内公募を行ない,有望な応募シーズに対する所長裁量経費の配分の審査を付託されている.この方式によって,政府系委託研究や大型科研費が準備されるなど,新しい研究分野の育成や競争的資金の獲得に貢献している.

国際活動,広報アウトリーチ活動,学生や若手研究者の育成,共同研究拠点としての活動推進については,それぞれ国際地震・火山研究推進室,広報アウトリーチ室,若手育成・教育推進室,共同利用委員会が担当し、研究所全体で対応する体制を整えている,これらの室および主要委員会の活動の詳細については後述する.その他にも,必要に応じて委員会を設置し,所内における多様な業務を遂行するとともに,研究所の運営に関わる諸課題の対応を行なっている.

環境安全管理室は,研究環境の安全管理全般を行うために2010年に設置され,定期的な安全パトロールや薬品の安全管理指導等,研究所内の安全管理に加え,野外調査における安全管理を行なっている.2011年の東日本大震災では,原発周辺地域の放射能問題に対応するため,必要な放射線線量計を確保するとともに,現地出張の際には詳細な屋外活動安全管理計画を提出させ,線量計の携行を義務付けて,安全管理を徹底させた.

また,大地震や噴火等の緊急時に自らの安全を確保するなどの,基本的な行動指針を作成して所員に徹底させるとともに,地震研究所が実施する緊急観測や調査活動などの機能を確保するため,必要に応じて調査観測本部などを設置する体制を整えている.最近では,2011年の霧島新燃岳噴火及び東北地方太平洋沖地震の際に調査観測本部を設置し,安全管理を徹底させつつ研究の円滑な推進のための支援を行なった.