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鷹野 澄 教授
『あなたの家の聴診器: IT強震計の開発と挑戦』
地震のときの建物の弱点を、日頃の弱い地震であらかじめ調べられれば、効果的な耐震対策を講じることができるでしょう。
私達は、一般の利用者が誰でも利用できる「あなたの家の聴診器」を目指して、IT強震計の開発を進めています。
建物には固有の揺れやすい周期があり、地震の波がそれに近い周期を含むと建物は共振して大きく揺れます。
日頃の弱い地震で、建物の固有の揺れの様子や、ゆがみ(バランス悪い建物の場合)、壊れやすい場所、
長年の経年劣化などを簡単に診ることができるように、日夜、研究開発に励んでいます。
本多 了 教授
『現在と過去の記録から地球内部の運動を推定する』
現在の地球内部の様子は主に地球物理的な手法によって推定されています。
一方、過去の地球は地表に残された、いろいろな記録を調べる事(いわゆる地質学)により推定されます。
地球の振る舞いを調べるためには、このような現在と過去の記録を調べる分野の融合が必要となります。
このためには、これらの記録をもとに仮説(モデル)をたてる事が有用です。
今回は、この例として、東北日本のトモグラフィー(地震波の速さの空間的変化)の結果と火山活動の変遷をもとに考えた
沈み込み帯のモデルについての話をします。
纐纈 一起 教授
『四川地震と岩手・宮城内陸地震』
日本時間5月12日の四川地震は,内陸部で起きた世界最大級の逆断層の地震でした.
世界中の地震計の記録を解析したところ,震源断層の長さは250キロ,面積は10,000平方キロに及ぶことがわかりました.
チベット高原の東端部の山間地を震源域とするため,地すべりや山崩れの被害が目立ちました.
建物等の被害は震源域の強震動(強い揺れ)によって起こったのだろうと想像されます.
6月14日の岩手・宮城内陸地震も山間地を震源域とする地震だったため,地すべりや山崩れによる被害が多く見受けられました.
落 唯史 くん(博士課程2年)
『地震研の学生生活』
地震研究所では60名ほどの大学院生が研究活動をおこなっています。
60名ともなればかなりの人数ですが,ではこの「大学院生」とはどのような人々なのでしょうか?
とくに,地震研究所での学生生活はどんな感じなのでしょうか?ふだんから観測に行っているのか,あるいは実験をしているのか,
はたまたコンピューターと向き合っているのでしょうか?
いろいろな写真をごらんいただきながら,このような話題をお話しいたします。
市原 美恵 助教
『火山爆発のモデル実験』
火山の噴火では、火山性の物質が、固体(火山灰・火山弾など)、液体(溶岩流など)、気体(火山ガス)といった様々な形で、
地表に放出されます。実際の噴出物は、多くの場合、固・液・気の混合状態や中間状態であり、
噴出挙動の力学は非常に複雑なものになっています。そのような挙動を理解するには、実験が必要になりますが、
高温のマグマをそのまま使うのでは、計測や観察が思うようにできません。
私たちは、マグマによく似た物質を用いてモデル実験を行い、噴火のメカニズムを理解しようと試みています。
望月 公廣 助教
『2008年5月8日茨城県沖地震(Mj7.0)と沈み込む富士山級海山との深い関係』
日本海溝沿いに沈み込む太平洋プレートの海底には、茨城県から福島県にかけての沖合で特徴的に海山が存在します。
これらの海山のサイズは、大きいものでは富士山をはるかに凌駕します。
このような巨大構造が日本列島の下に沈み込んだら、地震の発生にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
我々の研究で、5月8日深夜に発生したマグニチュード(M)7の地震も、実は沈み込んだ海山とは無関係ではないことが明らかとなりました。
茨城県沖で〜20年ごとに発生するM7級地震と、富士山級海山との関係について紹介します。
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