氏名纐纈一起・こうけつかずき
職名教授
所属災害科学系研究部門
専門強震動地震学・震源過程論・地震波理論
URL http://taro.eri.u-tokyo.ac.jp/

最終更新日 05/27 2014

研究内容

地震という現象の始まりは震源の断層運動ですが,それによる揺れが地球を伝わる現象(地震波)や,伝わった先の地面が揺れたり(地震動),隆起・沈降する現象(地殻変動)があって完結します.この研究室では「地震の揺れを科学する」を研究テーマとしており,災害につながる強い揺れ(強震動)や長周期地震動など,地殻変動を含むいろいろな揺れが研究対象です.(詳細はhttp://taro.eri.u-tokyo.ac.jp/saigai/kenkyu.html).

1. おおもとの震源は当然,地震波・地震動や地殻変動に大きな影響を及ぼすので,そこでの断層運動の詳細(震源過程)を明らかにする研究を進めています(Sato et al., 2005など).さらには得られた震源過程のモデルから,震源で何が起っているのか,どのような揺れが発生しているのかなどの謎に,震源力学や地殻変動論などの立場から挑んでいます.

2. 地殻やプレート,地表近くの堆積層の構造も地震波・地震動や地殻変動に強い影響を及ぼします.そのため,地震波のレイトレーシング法を開発したり,構造のトモグラフィ解析を行ってきました(Koketsu and Higashi, 1992など).しかし,現実的な地震動や地殻変動を再現できるような構造モデルを得るためには,モデル化手法の画期的なブレークスルーが必要で,その探求を行っています.

3. 地震波・地震動や地殻変動の研究も原動力となるのは観測とシミュレーションです.関東平野内約600観測点のデータを収集するシステムの開発に参加し,長周期地震動がいかに伝わっていくかを明らかにしました(Koketsu and Kikuchi, 2000).さらには2.の構造モデルに対して地震動シミュレーションを行い,この観測事実が再現できることを確認しました.こうしたデータの活用と新しいシミュレーション手法の開発を進めています.

主要論文・著書

Koketsu, K. and S. Higashi, Three-dimensional topography of the sediment/basement interface in the Tokyo metropolitan area, central Japan, Bull. Seism. Soc. Am., 82, 2328--2349, 1992.

Koketsu, K. and M. Kikuchi, Propagation of seismic ground motion in the Kanto basin, Japan, Science, 288, 5469, 1237--1239, 2000.

Sato, H., N. Hirata, K. Koketsu, D. Okaya, S. Abe, R. Kobayashi, M. Matsubara, T. Iwasaki, T. Ito, T. Ikawa, T. Kawanaka, K. Kasahara and S. Harder, Earthquake source fault beneath Tokyo, Science, 309, 5733, 462--464, 2005.

纐纈一起, カリフォルニアの被害地震と兵庫県南部地震, 科学, 66, 2, 93--97, 1996.

纐纈一起, 兵庫県南部地震と強震動地震学, 科学, 70, 1, 66--71, 2000.

纐纈一起, 関東平野の地下構造調査とそのモデル化, 月刊地球, 号外, 37, 96--101, 2002.