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6-2.反射法地震探査による活断層の地下構造

 活断層の地下構造を明らかにすることは,地震発生のメカニズムや,シナリオ地震の想定などにとって重要である.地震研究所には兵庫県南部地震以降,反射法地震探査システムが導入され,内陸活断層の地下構造を明らかにするための研究を全国の研究者と共同で進めてきた.これらの研究は,島弧地殻変形過程のプロジェクトと有機的に結合し,地震発生域から地表近傍まで活断層の構造を総合的に明らかにすることを主眼として研究を行ってきた.1997-98年は東北地方,1999-2000年は北海道の活断層系で調査を実施してきた(図1).また,この他に平均変位速度が大きい内陸活断層系である糸魚川-静岡構造線や中央構造線活断層系についての探査も進めている.これらの探査を通じて,東北地方に多い地殻最上部での断層のフラット・ランプ構造(図2)や,地下に主要断層が伏在する断層起因褶曲の実態(図3)など,地表の活断層と地下の震源断層を結びつける上で重要な構造形態が明らかになりつつある.

図1.浅層反射法地震探査測線.青線は島弧変形過程のプロジェクトで実施した深部地殻反射法地震探査測線.
 

図2.千屋断層を横切る反射法地震探査断面

図3.北海道苫小牧東部,勇払背斜を横切る反射法地震探査断面


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