5-7. 海底ケーブルネットワークによる広域海底・海洋物理的研究

 

 1990年以降,運用停止した海底ケーブル(GeO-TOC, GOGC, GPT)を利用して,地震観測,電位差観測を行っている(図1).地震観測としてはグアム〜神奈川県二ノ宮に至るGeO-TOC海底ケーブルの途中に設置したIZU観測点をリアルタイム運用してきた.しかし,2002年10月相模湾を通過した台風直後から観測不能になっていることは残念である.

 また,グアム〜沖縄間の海底ケーブルGOGC(図1)を用い,多目的海底試験観測(VENUS研究)を行った.13種類の観測器機器の一つとして広帯域海底地震計も設置された(図2).図3はこの広帯域海底地震計によって観測された台湾集集地震の余震である.この観測を通じ周期100−200秒の周期の海底雑音は時間によって極端に変化することが観測された.

 電位差観測に関連して,地球の核におけるダイナモ作用に起因する電位差変動の検出可能性が

再検討され,30 年周期の外核内の流れの振動によって生成される電磁場変動は,地表における電位差変動として十分観測可能であることが示された(図5).

内外の研究が進んできたので,第3回の国際ワークショップ(「海底ケーブルの科学的利用とその周辺技術」)を2003年6月25-27日,東大数理科学講堂において開催する.

図1.GeO-TOC(グアム〜二宮間)とGOGC(グアム〜沖縄間)の海底ケーブルとIZU地震計,VENUS試験観測の位置.

 

図2 VENUS広帯域地震計(水深2100m)

図3 VEUNS広帯域地震計で観測された台湾集集地震の余震(Ms6.1,1999/11/1)

図4. VENUS 広帯域地震計による海底雑音の変化.

図5地球外核内の流れの変動により生成されると期待される地表での電位差変動の例.

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