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地球計測部門

 当部門では,レーザー干渉などの新技術を用いた観測機の開発研究,絶対重力計や合成開口レーダなどの最新技術による測地学の観測やグローバルな粘弾性変形理論の研究,地震発生物理の理論的研究,それに基づく強震動のシミュレーションの研究などを進めている.

新たな地球計測機器の開発

 新しく高性能・高信頼度の測器が開発されたとき,新しい地球物理学の研究分野が開かれる.この信念のもとに,われわれは新たな機器を開発している.
(1)レーザー干渉計を利用した観測機器
(2)超精密機械工作を応用した観測機器開発
(3)高温超伝導浮上体を用いた加速度計開発
 将来の重力観測衛星などで用いる人工衛星搭載加速度計開発のための基礎研究として,高温超伝導体を用いた磁気浮上システムの位置・姿勢制御の研究を行っている.簡易かつ高精度な超伝導重力計を実現するためにも大いに役立つと期待される.

新たな地球計測機器の開発
左:高温超伝導体バルクのピン止め効果によって浮上する永久磁石.右:永久磁石を組み込んだ浮上体の位置を光センサーで検出,静電アクチュエータで位置や姿勢を制御する.

重力場の時間変化・空間分布の観測と理論研究

 マグマの上昇や,地盤の隆起・沈降に伴って,万有引力を及ぼす源となる地下の物質の移動がおこる.このとき生じる,ごく微少な重力の変化に着目して,火山噴火予知や地震予知の基礎研究のため,以下の2つのテーマに取り組んでいる.

  1. ヨウ素安定化レーザーと原子時計という最先端技術を組み合わせた絶対重力計や高精度スプリング重力計を駆使して,国内各地で重力を10億分の1までの超高精度で測定している.浅間山の例では,火道内のマグマの昇降を重力変化から読み取り,噴火予知につながる成果を挙げた.
  2. 弾性率・密度が深さとともに変化する,球対称マックスウェル粘弾性体モデルについて,地震によって生じる地殻変動・重力変化の理論計算を進めている.

2004年浅間山噴火後の重力変化
(a)2004年浅間山噴火後の重力変化.噴火は重力がピーク値をとって減少に転ずると発生している.(b)重力変化から解釈された,火道内のマグマの昇降.番号(1)−(5)は上の図(a)と対応.

干渉SARによる地殻変動検出の研究

地震破壊の理論的研究

(1)地下流体が地震破壊に及ぼす影響についての研究

(2)断層形状の複雑化と断層系の成熟過程についての研究

 地殻は強い力学的不均質性を有し,多数の小規模な断層要素を含んでいる.このような断層要素の長大な断層系への発展の問題を考える際の基本的問題として,互いに平行な二つの既存の断層が,どのように動的破壊を起こすかという問題についての数値実験例を示す.地震破壊が繰り返されるたびに近接の断層が結合することにより,小規模断層要素群が長大な断層系へと成長することが示される.断層が成長するにつれ,断層間のステップ幅が相対的に小さくなっていくからである.このシナリオによると,断層の飛び構造は,近接した断層間の結合が完成する前段階ということになる.

破壊が動的破壊伝播する様子
破壊が動的破壊伝播する様子

地震発生過程と強震動のシミュレーション

過去の地震の破壊力学的再現と強震動シミュレーションへの応用.

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