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火山噴火予知研究推進センター

 火山センターでは,火山やその深部で進行する現象の素過程や基本原理を解き明かし,火山噴火予知の基礎を築くことを目指し,火山や噴火に関連した諸現象の研究を行っている.浅間山,小諸,霧島山,伊豆大島に付属の火山観測所や施設がある他,富士山,三宅島に常設観測網を持ち重要な観測拠点となっている.伊豆大島と浅間山では,近年,地震観測網,地殻変動観測網の高精度化を行ってきている.また,火山噴火予知計画の重要プロジェクトとして,火山体構造探査および集中総合観測の全国共同研究を,地震研に設置されている火山噴火予知研究協議会や客員教員制度を活用して組織している.

 平成14,15年度に富士山で集中総合観測と火山体構造探査を実施した.平成13〜15年度にかけては,富士山の総合研究を実施し,北東斜面に地震計・傾斜計等の観測井設置を行った.その際,小御岳火山の下には別の火山体の存在が分かるなど,富士山の地下構造や発達史が明らかになった.

 平成12年6月に噴火を開始した三宅島火山において総合的な観測研究を実施した.これによって噴火に伴ったマグマの地下移動や山頂陥没のメカニズムについてモデルが提案されたほか,帯水層回復過程が追跡された.平成16年9月から開始した浅間山の噴火でも総合観測研究が行われている.噴火前に周期が数秒より長い特異な地震が起こったこと,噴火に伴ってシングルフォース成分が卓越した爆発地震が起こったことなどが分かった.噴火規模は噴火毎に5万トン以下であり,マグマの組成はここ数千年間共通している.雲仙岳では平成15,16年度に,噴火のメカニズム解明のための科学掘削がICDPとの共同事業として行われた.イタリア,ベスビオ火山北麓にあるアウグストゥスの別荘とされる遺跡の埋没過程と噴火に関する研究も平成14年から行われている.


伊豆大島GPS観測網で平成16年5〜7月に観測された山体膨張.星印の地下約4kmの場所に2x106 m3のマグマが貫入すれば説明可能.


人工地震構造探査によって推定された富士山直下のP波速度構造(西南西−東北東断面).S1〜S4,K1は発破点.基盤の盛上りと東部の高速度基盤が明瞭.


浅間山の山頂火口(2004年10月1日長野県警ヘリから).2004年9月1日から始まった噴火で溶岩が火口底を満たした.


雲仙火山で実施した火道掘削の南北断面図.中心は複数の岩脈や火砕岩脈からなる火道域.

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