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イタリア中部の地震
最終更新日

2009.04.18


2009年4月6日10時32分(日本時間,現地時間では6日午前3時32分)、イタリア中部(北緯 42.33°,東経 13.33°,深さ 8.8km; USGS)でMw6.3(Global CMT Projectによる)の地震が発生しました。内陸での震源の浅い地震のため大きな被害が起きています。

4月13日(現地時間)で死者は294名に達し、1,500人の負傷者と55,000人の避難者がでています。10日金曜日には合同の葬儀がいとなまれました。 また、日本時間4月8日午前2時47分(現地時間19時47分)にMw 5.5の余震が起きました。これにより1997年の地震のような群発地震活動となる可能性も出てきました。

本ウェブサイトでは、この地震についての速報を随時更新してまいります。(アウトリーチ推進室)


【更新履歴】


【テクトニクス背景】

地中海ではユーラシアプレートとアフリカプレートとが衝突しており、イタリア東部から南部にかけて地中海の岩盤が沈み込んでいる(図で点線で囲んだ部分の深発地震はこの沈み込みに伴って発生)。一方でティレニア海では海盆の拡大が起きていて、この周辺域では引張りの応力場であることが分かる。

今回の地震はユーラシア・アフリカプレートの衝突方向(東-西)とは異なる断層走向(北西−南東)を持ち、さらに震源メカニズムは正断層であるため、両プレートによる圧縮の応力場よりは、ティレニア海周辺域の引張りの応力場が寄与したものであることが言える。


青線: ユーラシア・アフリカプレート境界をPB2002を参考に描画
点々: 1977〜2009年3月25日までに起きた地震の震源位置
★: 今回の地震の震源位置

(クリックで拡大)








[参考文献]
  • PB2002: プレート境界の世界地図(UCLA の Peter Bird教授による)
  • Boncio & Lavecchia, Journal of Seismology, 2000
  • Cello et al., Journal of Seismology, 2000
  • Morelli et al., Journal of Seismology, 2000
  • Salvi et al., Geophys. J. Int. 2003




【震源過程インバージョン】
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Natalia Poiata 氏 (博士2年)


【W-phaseによる震源メカニズム(暫定結果)】




Mw = 6.14
断層面1: Strike, Dip, Slip : 315.7 / 54.6 / -97.3
断層面2: Strike, Dip, Slip : 148.2 / 36.0 / -79.9




参考:
Global CMT Project (コロンビア大学 Goran Ekstrom教授)による震源メカニズム
(クリックでリンクへ)


その他の震源メカニズム:
USGS: Scientific & Technical Information
横田 裕輔 氏 (修士2年)


【この地震の前震活動】



今回の地震には顕著な前震活動が認められた.イタリアの国立地球物理学火山学研究所のデータによれば,ここはもともと月に数回程度,小地震が起こる地域ではあっ たが,本年3月に入るとやや小地震数がふえ,3月30日には9回中小地震が発生するに至った(最大マグニチュードMは4.0).その後はほぼ毎日2〜4回前震 (最大M 4.6)があったのち,4月6日1時32分の本震となっている.こうした状況で民間の予知情報が出た場合に,パニックが起こる可能性はかなり高かったであろうことは予想される.
纐纈 一起 教授


J-arrayで観測された波形
地震予知情報センター



【この地域での過去の被害地震:USGSウェブサイトより】
1997年にはMw6.0の地震が今回の地震の85km北北西のUmbria-Marche地域で起きている。このときは11名の死者、100名以上の負傷者、80,000世帯の住宅損壊の被害があった。この1997年の地震は、M5.0以上の地震が2ヶ月の間に8回起きた群発地震のうちのひとつであることが知られている。

【リンク】

   
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