2009年5月25日午前9時55分頃の地震動波形について 更新日: 2009.05.28 作成日: 2009.05.25 東京大学 地震研究所 USGS(アメリカ地質調査所)によると、2009年5月25日午前9時54分43秒(日本時間)に北朝鮮付近を震源とするイベントが発生しました。観測されたイベント波形には自然地震とは異なる特徴が見られています。本サイトではこのイベントに関する情報を随時報告してまいります。(アウトリーチ推進室) 【観測された波形】 2009年5月25日午前9時55分頃(日本時間)、国立大学・防災科学技術研究所の高感度地震観測網により観測された波形記録 震源は北緯41.331°,東経129.011°,深さ0km(USGSによる)とした。縦軸の距離は震源からの距離、横軸の時間は午前9時56分0秒からの経過時間。 (クリックで拡大) 【自然地震との比較 :その1】 下の図の左は今回の地震動による観測波形、右は2009年4月18日12時56分にウラジオストック付近(北緯42.844°,東経130.496°,深さ564km;IRISによる)で起きた自然地震。 赤い矢印は初動のP波、青い矢印は主要動のS波をあらわす。上下動の波形記録なのでS波は見えにくいが、それでも自然地震であれば普通は観測されるが、今回の地震動には明瞭なS波は見られない。 震源の位置:(クリックで拡大) 【自然地震との比較 :その2】 1秒の長周期フィルターをかけたもの。自然地震ではP波もS波もより明瞭に見える。 一方で1Hzから5Hzのバンドパスフィルターをかけると、5月25日の地震動の記録はより明瞭になる。 マグニチュード5クラス(USGSや気象庁による)を離れた場所で観測した場合に、長周期成分がほとんど観測されないことは自然地震では考えにくい。 【2006年10月のイベントとの比較: その1】 地震地殻変動観測センター USGSによると、2006年10月9日午前10時35分頃(日本時間)、今回の震源のごく近くでイベントが起きたとの報告がある。 東大地震研の観測点における両イベントの波形を比較したものが下図。 赤い波形は2006年のもの、青は2009年のもの。2つのイベントは観測点ごとの時間差が同じであることから、ほぼ同じ位置で発生したことが分かり、波形がそっくりであることから似たメカニズム(発震機構)をもつことが推測できる。 右端に書いてあるのは最大振幅(×10^-6m/s)。おおよそ3〜4倍の違いがあることがわかる。これはエネルギーに換算すると9〜16倍の違いにあたる。 ↓クリックで拡大 【リンク】 USGS アメリカ地質調査所 気象庁 「平成21年5月25日09時55分ごろの震動波形について(第2報)」
2009年5月25日午前9時55分頃(日本時間)、国立大学・防災科学技術研究所の高感度地震観測網により観測された波形記録 震源は北緯41.331°,東経129.011°,深さ0km(USGSによる)とした。縦軸の距離は震源からの距離、横軸の時間は午前9時56分0秒からの経過時間。 (クリックで拡大)
下の図の左は今回の地震動による観測波形、右は2009年4月18日12時56分にウラジオストック付近(北緯42.844°,東経130.496°,深さ564km;IRISによる)で起きた自然地震。 赤い矢印は初動のP波、青い矢印は主要動のS波をあらわす。上下動の波形記録なのでS波は見えにくいが、それでも自然地震であれば普通は観測されるが、今回の地震動には明瞭なS波は見られない。 震源の位置:(クリックで拡大)
1秒の長周期フィルターをかけたもの。自然地震ではP波もS波もより明瞭に見える。 一方で1Hzから5Hzのバンドパスフィルターをかけると、5月25日の地震動の記録はより明瞭になる。 マグニチュード5クラス(USGSや気象庁による)を離れた場所で観測した場合に、長周期成分がほとんど観測されないことは自然地震では考えにくい。
USGSによると、2006年10月9日午前10時35分頃(日本時間)、今回の震源のごく近くでイベントが起きたとの報告がある。 東大地震研の観測点における両イベントの波形を比較したものが下図。 赤い波形は2006年のもの、青は2009年のもの。2つのイベントは観測点ごとの時間差が同じであることから、ほぼ同じ位置で発生したことが分かり、波形がそっくりであることから似たメカニズム(発震機構)をもつことが推測できる。 右端に書いてあるのは最大振幅(×10^-6m/s)。おおよそ3〜4倍の違いがあることがわかる。これはエネルギーに換算すると9〜16倍の違いにあたる。 ↓クリックで拡大