GEONET(国土地理院)による神津島,式根島,新島の変位の1解釈


地震研究所 飯尾 能久

神津島,式根島,新島の変位速度は一定ではない.これは,
  1. 式根島と三宅島間のダイクの貫入と7/01 M6.4の断層(およびその周辺の断層? )のクリープ(名大モデル)のどちらが支配的であるか,
  2. やや離れたところで大地震が発生したか,
などによって決まっていると考えられる.式根島―三宅島間のダイクの開口による変 位は,新島が大きく式根島が小さいと考えられるのに対して,7/01の断層のクリープ による変位は,式根島が大きく新島が小さいと考えられるからである.

名大モデルはこちら

図1 神津島(8),式根島(6),新島(5)の変位(南伊豆を固定).国土地理院( GEONET)による火山噴火予知連絡会資料を折れ線で近似し,各日の午前零時の値を読 みとった(直線的な区間は両端からの内挿値).各島の変位は大きくなったり小さく なったりする.式根島の変位が大きい時,新島の変位が小さくなる傾向が見える.ま た,7/15,7/30の地震の後約3日間,3つの島とも変位が小さくなる.
注)折れ線の近似は目によるものなので主観が入っています.

図2 図1のデータを微分して得られた1日あたりの変位速度(NS,EW成分を合成) .全体図と拡大図を示した(拡大図では地震による飛びが図の範囲外となっている) .式根島の変位が大きい時,新島の変位が小さくなる傾向,7/15,7/30の地震の後約 3日間,3つの島とも変位が小さくなることがわかる.
8/10-18は,7/15,7/30の地震の後約3日間と同じ傾向を示すが,対応するような地震 は発生していない.この期間には三宅島で噴火が起こった.今後の推移に注目すべき である.

図3 図2のデータから,式根島の変位速度の新島に対する比をプロット(式根島の 変位速度も併せて示した).7/01, 7/09, 8/18の地震後に比が大きくなる. 7/24頃 から比が大きくなっているが,7/24,6:52 Mw5.6(HVD)の地震に関連して,クリープが 大きくなったと推定される.HVDで解が得られている地震は,7/24,6:52 Mw5.6,およ び上記の3つと7/15,7/30以外には,7/13 4:25Mw5.6(HVD)にも発生している.