三宅島火山の概要

三宅島は海底部分も含めると直径20〜25km程度の やや南北に伸びた円錐形の火山です.陸上に現われ た三宅島火山は,ほぼ円形で直径が約9kmあります. 西側山腹の標高350m付近はなだらかな斜面となって いて,村営牧場や笠地観音などがあります.これは 桑木平(くわのきたいら)カルデラと呼ばれ,直径約4 キロ程が円形に落ち込んだ跡です.カルデラ西〜北 側の縁の外側斜面は急になり,また深い谷が切れ込 んでいます.その後,カルデラの中は新たに成長し た火山の噴出物に埋めたてられたため,カルデラの 東〜南の縁は不明瞭になっています.さらに,標高 700m付近には1.8km×1.6kmほどの八丁平(はっちょ うだいら)カルデラと呼ばれる内側のカルデラが2500 〜3000年前に形成されました.雄山(おやま,813.9m )は八丁平カルデラの中に成長した火山です.
過去には島の中心から,あるいは放射状の割れ目 からの噴火が繰り返し起こって,玄武岩質の溶岩, スコリアを噴出しました.スコリア丘や小火口列が 多数並んでいるのはかっての噴火割れ目の跡と考え られます.割れ目が海岸線近くに達すると激しいマ グマ水蒸気爆発が起こることがあります.こうして 形成されたマールには三池(みいけ;9世紀に形成), 金曽(かなそ),水溜り(みずたまり),古濡(ふるみお: 南半を大路池が占める;2500-3000年前),山濡(やま みお;2500〜3000年前),新濡(しんみお;1763年に形 成され1983年新濡池があった),釜根(かまね)などが あります.海岸付近まで流下した溶岩は,三池港埠 頭の先にあるクラマ根,ベンケ根や阿古の今崎など のような岬や溶岩扇状地をつくっています.最近1万 年間をみると,2500〜3000年前の八丁平噴火が最も 規模の大きな噴火でした.
三宅島火山の噴火は西暦1085年以来1983年の噴火 まで少なくとも14回記録されており,噴火のたびに 大きな被害と不安を受けてきました.1983年の噴火 以来10余年が経過した現在,次の噴火へ向けて,島 の膨張と隆起が続いていて,近い将来,噴火する確 率が高いと考えられています.過去の噴火の歴史を 知っておくことは,将来の噴火の推移を予測する上 でも非常に重要です.