三宅島の火山災害の用語辞典

三宅島
火山三宅島は非常に活発な火山で,記録に 残っているだけでも1084年以来,14回の噴火が知 られています.地質や遺跡の調査から,それ以前 にも,何10回もの噴火があったことがわかってい ます.3000〜2500年前に起こった大噴火では縄文 時代の島民が壊滅的な打撃を受けました.9世紀に は雄山と三池浜で大きな噴火があり,10〜11世紀 ころには釜根付近で噴火が起こりました.
火山性微動
火山体に発生する地震で連続的な振動 のことをいいます.一般の地震が岩石が瞬間的に 破壊されて発生するのに対し,地下でマグマやガ スなどの流体の運動が原因と考えられています.
火山泥流・土石流
噴火によって地表に堆積した火 山灰が大雨で流されて泥流となることがあります. 発生したら高台に避難する必要があります.
火山灰
火口から放出される細粒の噴出物のうち径 が2mm以下のものをいいます.
火山豆石
火山灰が球状に固結したものを火山豆石 と呼びます.マグマ水蒸気爆発に伴って形成され ることが多く,2500-3000年前の大噴火の時には火 山豆石が全島を40cm以上の厚さで覆いました.
カルデラ
非常に大規模な噴火が起きると山体の中 心部は落ち込んで大きなくぼみを作ります.三宅 島では過去に少なくとも2回カルデラができました. 最初のカルデラ形成のの跡が桑木平に,2度めにで きたカルデラのなごりが八丁平となりました.
スコリア
気泡に富む軽い火山岩.三宅島の噴火で は溶岩が流れ下る一方で,空高く噴きあげられた スコリアが風下側に落ちてきます.過去の噴火で も坪田地区が降下スコリアの被害を受けたことが 記録に残されています. スコリア丘
スコリアが火口周辺に堆積して生じた 円錐形の小丘のことをいいます.三宅島では雄山 のほか山腹噴火により多くのスコリア丘が形成さ れました.割れ目噴火地表に生じた細長い割れ 目(割れ目火口)から噴出する噴火.三宅島では 過去の噴火の多くが割れ目噴火を伴うものでした. 割れ目の長さは数kmに達し,山麓から海岸にまで およびます.
噴煙
火山ガス・火山灰・スコリアなどが火口から 噴出し生ずる煙のこと.噴火の際には火口の上空 に噴煙柱が形成されます.
マグマ
地下にある岩石物質が溶けた高温のものを いいます.これが地表に現われたものを溶岩と呼 びます.
マグマ水蒸気爆発
浅い推定や海岸近<にマグマが 上昇してくると,マグマが直接水に接して激しい 爆発をします.三宅島の噴火現象では最も危険な ものです.火口周辺約1kmには爆風とともに岩石 や土砂が吹き飛ばされてきます.もちろんその場 にいたら助かりません.もしもこのような噴火の 兆しがあれば緊急にその地域から脱出しなければ なりません.
マール
マグマ水蒸気爆発の結果大きな火口が開き ます.このようにしてできた火口をマールといい ます.新濡池,大路池,山濡,水溜りや金層など はこのようにしてできたものです.
山腹噴火(側噴火)
火山の中腹または裾野で起こ る噴火のことをいいます.山頂火口に通じる火道 (マグマの通路)とは別の火道を通ってマグマが 地表に噴出する結果おこります.割れ目噴火に密 接に伴うものです.
溶岩流
溶岩流は高温ですが,流速はやや遅く,山 腹から集落まで到達するのに数10分から2時間かか ります.三宅島の過去の噴火のほとんどは溶岩流 を伴うものでした.過去1000年前から1983年まで に流れたことがわかった溶岩流の広がりを図に示 しました.1643年,1983年噴火では阿古地区, 1874年噴火では神着東郷地区が,溶岩流による大 きな被害を受けました.低地に向かって流れるの で,一般的には巻き込まれて命を落とす可能性は 少ないのですが,溶岩によって避難路が寸断され ると大変危険です.
割れ目噴火
地表に生じた細長い割れ目(割れ目火 口)から噴出する噴火.三宅島では過去の噴火の 多くが割れ目噴火を伴うものでした.割れ目の長 さは数kmに達し,山麓から海岸にまでおよびます.