三宅島情報 2000/11/25 昨日の調整で手島牧場と大路池北の磁力計データ回収はOKとなった. 気象庁の調整に感謝.本日は笹井のみ.多幸湾に向かう時,三宅の噴 煙が見える.ほぼ垂直で昨日より高い感じ.海はベタなぎ. 07:40 多幸湾乗客待合所に集合. 07:52 成栄丸にて三浦漁港出航,波静か.この船は早い. 08:50 阿古漁港沖到着.SO2 0.2ppm.白色の噴煙は昨日より多い. 09:15 P3Cによる監視始まり,作業開始OK. 09:20 消防車(ランクル)に三宅消防,村役場職員,笹井の3名が乗 り,磁力計データ回収に出発. 09:30-10:00 小手倉のNTT送信所には昨日も作業要員が入ったがその先 手島牧場までは誰も行っていない(らしい).牧場までは大丈 夫だろうと建設協会の人から情報.実際牧場まで問題無く行け た.牧場の中は8月18日の灰がまだ軟弱でランクルでもスタック しそうになる.この次から牧場内は歩くこと.牧場から先の防 災科技研傾斜計観測施設へは道が崩れているが,手前の重力測 定点までは車でも大丈夫のようである. 10:00-12:00 阿古から北回りで坪田林道に行き,昨日偵察した大路池 北(TRK)観測点へ.SO2 0.2ppm.バッテリー交換とデータ回収. 12:00-13:30 坪田漁港,空港消防署,村役場に寄り,阿古漁港に帰着. 昼食.P3Cの観測では噴煙の高度は1500m,白色,東に流れてい る.阿古の集落に戻る手前あたりで少しガス臭.しかしこの2 日間はどこの作業班もガスに悩まされることは無かった.鍵山 さんの推測では,小春日和で上昇気流が生じて,ガスが斜面を はう状態にならなかったためらしい. 14:20 成栄丸で阿古漁港を出航. 15:30 神津島多幸湾に帰着. 今日の磁力計データ回収作業は木村(三宅消防),平松(村役場)さ んが全面的に協力してくれて,遂に8月半ばないし終わり頃以来回収で きなかった2点のROMを入手できた.8/18と8/29のイベントを含む期間 の貴重なデータを抱いたまま,灰の中に眠っているプロトンがあと4台 ある.火山ガスで金属腐食が始まっているが,せめて生き残っているデ ータだけでも救いたい.8月,9月に何が起こったのか,今回活動のメイ ン・フェーズを解明する貴重な手掛であるから. それとは別に,今回一部ではあるが中腹での観測が出来るようになっ たことは,観測班にとって大変有難い.火山ガスを警戒する要員をつけ て(ペイ・ローダー+耐熱消防車のシバリ無しで)移動観測できるなら, 我々の出来る仕事は一挙に拡大する.気象庁が辛抱強く交渉してくれた おかげですが,多分先週の重力・強震計班の粘りが効いていると思われ る.我々熱・電磁気班も2勝4敗だったが,とにかくデータ取れるまで と頑張っていると,災対本部はその辺の気分が分かってきて,今回のよ うなチームを組んでくれる.もちろんこれは現在の三宅島火山活動につ いて,火山ガス以外の危険要因は無いだろうとの前提ではあるが. ところで北西の風が卓越する12月に,村営牧場付近のあの広い斜面に 地震計や電場測定の群列観測網を張りませんか?現在の三宅島火山を監 視する絶好のシステムです. 笹井洋一