2010年 バハカリフォルニアの地震

ウェブサイト立ち上げ:4月5日

更新:4月14日

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日本時間の2010年4月5日午前7時40分(現地では4日22時40分),アメリカ合衆国とメキシコの国境から南へ50kmのメキシコ北西部(バハカリフォルニア)でM7.2(USGSによる)の地震が発生した.この地震に関するテクトニクス背景を中心に本ウェブにまとめた.(取りまとめ:広報アウトリーチ室)


基本的な情報

  • 地震発生日時:2010年4月5日午前7時40分(現地では4日22時40分)
  • 震源の位置:32.13N, 115.30W, 深さ10km(USGSによる)
  • 関連するプレート:太平洋プレートと北米プレート
  • 震源となった断層: Laguna Salada断層(ラグナサラダ断層)
  • 地震のタイプ:横ずれ断層型

テクトニクス背景

この地域では太平洋プレートが北米プレートに対して45mm/yrで北西方向に動いており,プレート境界は横ずれ断層を形成している.今回の地震はLaguna Salada(ラグナサラダ)断層の南東部で起きた(図1).4月5日時点では表層での亀裂など震源断層は確認できていない.余震分布は震源から南北両方向に伸びており,北部はアメリカ合衆国のカリフォルニア州,南部ではカリフォルニア湾に達している(図2).この地域にはいくつかの活断層があり,代表的なものとしてはSan Andreas断層,それと並行して走るElsinore断層,San Jacinto断層などが挙げられる.これらSan Andreas断層系のテクトニクスからカリフォルニア湾のテクトニクスに移り変わる地域でもあるので,複雑な背景を担っている.

図1.南カリフォルニアからバハカリフォルニア地域の活断層.Bennett et al., 2004 の Figure1 に加筆.

図2.地震発生後13時間の余震分布.


過去に起きた地震

この地域は地震活動が非常に活発である(図3).過去のM7クラスの地震には以下のようなものがあったことがわかっている.

  • 1892年にLaguna Salada(ラグナサラダ)断層で起こった地震.ただし震源は今回より北西部に位置する.地表に地震断層が現れた.
  • 1915年のM7.0-7.1の地震.
  • 1934年のM7.0-7.2の地震.Cerro Prieto(セロプリエト)断層で数メートルにわたる横ずれ変位が見られた.
  • 1940年Imperial Valley(インペリアルバレー)地震.ただし今回より北部のImperial(インペリアル)断層で起きた.地表に地震断層が現れた.

図3.1973年から2010年3月までに起きた地震の震源.(震源のデータにはPDEカタログを使用)


[ J-arrayの地震波形記録]

J-arrayの地震波形記録

新J-array地震波形データベースは,日本列島の高感度地震観測網を大アレーに見立て,世界各地で発生している大地震の地震波をオンライン・リアルタイムで収集し,データベース化したものです.現在,全国の大学と気象庁の約400近い観測点の3成分の地震計の波形データが地上高速ネットワークを通じて収集されています.地震波形データは,全て20HzサンプリングのJ-array標準波形データに変換して保存されています.

地震火山情報センター


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