2010年5月 新燃岳(霧島火山群)の噴火について

ウェブサイト立ち上げ: 2010年5月28日

5月27日15時37分ごろ,霧島火山群の新燃岳で小規模な噴火が発生しました.5月28日時点での噴火警戒レベルは,今月6日に引き上げた2となっています.気象庁鹿児島地方気象台によると,新燃岳火口から1km程度の範囲内では噴火に伴い飛散する噴石に注意が必要とのことです.この噴火活動について本ウェブにて随時情報を更新してまいります.(取りまとめ:広報アウトリーチ室,監修:火山センター)


全磁力連続観測の推移

5月27日に小噴火をおこした霧島山新燃岳の周辺において、東京大学地震研究所ではプロトン磁力計を用いて全磁力連続観測をおこない、新燃岳の火山活動モニタリングを行っている。

上図丸印が全磁力観測点,うち黄丸印3点のデータを今回の解析で使用した.(地図は国土地理院発行「ウオッちず」をもとにカシミール3Dで作成)

下図1の赤線は新燃南を基準とした新燃北の変化,緑線は新燃南を基準とした新燃北西の変化を示す.長期的には両者は逆向きの年周変化を表すが,噴火約1週間前(5月19日前後)から,両者とも増加に転じている.北が増加,南が減少であるので,おおまかには消磁のセンスを示していることがわかる.今後応力磁気効果など他の影響についても検証を加える必要がある.

2009年10月から2010年5月の全磁力差.いずれも新燃南を基準にしており,赤は新燃北,緑は新燃北西の変化を示す.

図2からは,噴火時刻前後には特に変化は見られなかったようすがわかる.なお,今年3月30日の微噴火の際も特に変化は見られておらず,今回の噴火はその規模が大きく,噴火様式が異なっていた可能性がある.

2010年5月27日の全磁力差.

小山 崇夫 助教


噴火警戒レベルとは

平成19年12月1日より導入された噴火予報・噴火警報。

  • 【レベル5(避難)】 危険な居住地域からの避難等が必要。
  • 【レベル4(避難準備)】 警戒が必要な居住地域での避難の準備、災害時要援護者の避難等が必要。
  • 【レベル3(入山規制)】 登山禁止や入山規制等危険な地域への立入規制等。状況に応じて災害時要援護者の避難準備等。
  • 【レベル2(火口周辺規制)】 火口周辺への立入規制等。
  • 【レベル1(平常)】 火口内等への立入規制。

(注:避難や規制の対象地域は、地域の状況や火山活動状況により異なりますのでご注意ください。)