2011年3月 東北地方太平洋沖地震

ウェブサイト立ち上げ: 2011年3月12日

最終更新日:2012年4月16日

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2011年3月11日14時46分,三陸沖から茨城県沖にかけての太平洋沿岸で,マグニチュード9.0の非常に大きな地震が発生しました.

このサイトは,地震研究所内の個々の研究者の研究成果・解析結果を掲載したものであり,地震研究所としての公式見解を発表するものではありません.また,各種報道で取り上げられた情報に関して,背景説明をする場としても活用しています.

地震の発生から1年が経過したので,冒頭の文言を更新しました.(オリジナルはこちら


更新情報


基本的な情報(震源の位置・規模,津波に関する情報は気象庁による)

  • 震源の位置:142.86N,38.10E,深さ23.7km
  • モーメントマグニチュード: Mw9.0(3月13日にM8.8から気象庁が修正)
  • 関連するプレート: 太平洋プレートと北米プレート(オホーツクプレート)
  • 地震のタイプ: プレート境界地震
  • 震源のメカニズムのタイプ: 低角逆断層(ほぼ東西の圧縮軸)
  • 観測された津波の高さ: 相馬7m以上,大洗4.2m以上など

よくある質問(3月17日更新)

  • 3月12日には長野県で,15日には静岡県東部で地震が起きていますが,11日の東北地方の地震と関係がありますか?
    • 関係がある可能性があります.東北地方太平洋沖地震はM9.0の巨大地震でした.日本列島が乗っている陸のプレートもこの地震の影響を受けていますから,地震活動が活発化する地域もあると考えられます.今後しばらくはこういった地震にもお気をつけください.(気をつけるポイントは『東京消防庁 地震に備えて』などをご参照ください.)
  • 静岡県東部の地震は東海地震に影響を及ぼしますか?
    • 3月15日の静岡県東部の地震は富士宮市付近で起きました.この地域から駿河湾にかけては富士川河口断層帯という活断層があり,この活断層と想定東海地震との関連性が指摘されています.しかし,今回の地震が直ちに東海地震を誘発するかどうかは検討が必要です.この検討が3月16日夕刻から地震調査委員会臨時会で行われ,「ただちに想定東海地震に結びつくような異常な地殻変動は観測されていない」との見解が示されました.(地震調査研究推進本部:『2011年3月15日静岡県東部の地震の評価』
  • 東北地方や関東地方の火山活動が活発化していると聞きましたが,本当ですか?
    • 本当です.大きな地震の後に周辺の火山の活動が一時的に活発化することはよくあります.今のところ,これら火山の活動も終息に向かっていますが,引き続きモニターをおこないます.
  • 想定されていた宮城県沖地震とは何ですか?
    • 宮城県沖のやや陸寄りの海域で繰り返し発生する大地震.マグニチュードは7.5程度,繰り返し間隔はおよそ30年と考えられている.最近では1978年6月12日にM7.4の規模で発生し,死者28名を出しました.
  • 今回の地震はこの宮城県沖地震ですか?
    • マグニチュードが大きく異なるので,宮城県沖地震単独ではありません.宮城県沖の他に,福島県沖,茨城県沖,岩手県沖までが震源域となっていると考えられます.→震源過程インバージョンを参照.
    • また,この地域では,869年に貞観(じょうがん)地震と呼ばれるM8.3の巨大地震が起きたことが,津波堆積物などの調査からわかっています.
  • 東北地方太平洋沖ではどのような地震が起きることが考えられていたのでしょうか?
    • 地震調査研究推進本部による宮城県沖地震の長期評価には,以下のように書かれています.
    • 『宮城県の沖合から日本海溝までの海域では、ここを震源域として大地震が繰り返し発生していることが知られている。また、この海域では、陸寄り及び日本海溝寄りの2つの海域それぞれを震源域として発生する地震が知られている。』
    • 『宮城県沖地震は、 東北地方の陸側のプレートの下へ太平洋プレートが沈み込むことに伴って、これら2つのプレートの境界面(以下「プレート境界面」という。)の、牡鹿(おじか)半島沿岸からその東方へ拡がる範囲で発生している と考えられる。』
    • 地震本部による該当サイトはこちらから.
    • 今回の地震が,上述の,陸寄りのものなのか,日本海溝寄りのものなのかは今後の調査で明らかにされます.震源過程インバージョン津波の逆伝播図を参照すると海溝寄りの部分も震源となっていることが示唆される.
  • 大きな津波が観測されましたが,この地震の規模としては想定される大きさなのでしょうか.
    • M9クラスなので海底には数mを超える地殻変動が起きたと考えられます.これが原因となって大きな津波が生まれました.
    • また,M9クラスの地震では震源断層の長さは400km前後にも及びます.これにより,岩手県沖から茨城県沖までの数百kmにわたって,広い範囲で津波が発生しました.
  • 過去にあったM9クラスの地震にはどのようなものがありますか?
    • 国内では例を見ない大きな地震で,日本の周辺で起こりうる地震としては最大規模の地震が発生しました.南海地震と東南海地震とが連動した場合にM8.5になると見積もられています.
    • 世界的には,1960年のチリ地震(Mw9.5),1964年のアラスカ地震(Mw9.2),1952年のカムチャツカ地震(Mw9.0),2004年のスマトラ島沖地震(Mw9.0),2010年のチリ中部地震(Mw8.8)などが挙げられます.世界で起きた大きな地震を参照.

もっと基礎的な質問について: 謎解き地震学より


7月21日-26日三陸宮城県調査成果表

色分けは下記をあらわしています.

青=1896年明治三陸
薄い緑=1933年昭和三陸
濃い緑=1960年チリ地震
グレイがかった青=2010年チリ地震
赤=2011年東北地方太平洋沖地震

(都司による)


津波調査結果

下図をクリックして詳細のページ

三陸南部の津波調査

(都司による)

三陸北部の津波調査

乙部野沼の浜、樫内漁港、重茂(おもえ)半島の千鶏(ちけい)、姉吉、重茂漁港、山田町小谷鳥(こやどり)、および大船渡市三陸町綾里での調査結果。

(都司嘉宣(地震研)Prof. B.H.Choi(成均館大),Dr. Kyeong Ok Kim (KORDI), Mr Hyun Woo Kim(Marine Info Tech Co)らによる)

北三陸の津波高さ-明治・昭和との比較

(都司による)

北三陸(宮古~野田村)の津波高さ

(都司・佐竹・石辺・西山による)

宮古・岩泉・田野畑・普代・野田における津波調査(暫定)

4月3・4日に宮古市から久慈市にかけて津波調査を実施した.小堀内漁協の37.9mに匹敵するほどの遡上高34.8mが青野滝にて測定された.下 の地図の黒丸は測量点,白丸は視察点である.視察点にあるカッコ内の数字はおおよその高さであるため,今後の調査結果が有効である.

(都司・大木・杉本・泊らによる)

宮古市田老小堀内漁港での津波遡上高

4月3日午後の水準測量で,宮古市田老の小堀内(こぼりない)漁港に37.9mまで津波が遡上したことがわかった.明治三陸津波(1896年)の際に,岩手県大船渡市綾里で記録した38.2mに迫る巨大な津波であることがあらためて確かめられた.

(都司・大木・杉本・泊)

茨城・千葉での海岸津波高さ

現地調査からの茨城・千葉における海岸津波高さのデータ.単位はm.

  • 3月16日-17日: 千葉県館山市布良→銚子市外川まで(調査者:都司、石辺、西山)
  • 3月19日-20日: 千葉県銚子漁港から茨城県北茨城市大津港・平潟まで
  • 調査点は、銚子港、波崎漁港、鹿島港昭和産業敷地、武井釜、大洗フェリーターミナル,那珂湊水産市場、日立市なぎさ公園、日立市川尻港、北茨城市磯原、北茨木市大津港,北茨城市平潟。茨城県海岸はすべて被害発生点のため、他機関による後追い調査も有効であろう.

(都司らによる)



首都圏の微小地震活動の変化

下図をクリックして詳細のページへ.

(石辺・島崎・佐竹・鶴岡による)

 



2011年4月11日の福島県浜通りの地震に伴う地表地震断層について

第3報(9月7日)-トレンチ掘削による古地震調査

3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(マグニチュード9.0; 気象庁,2011a)の一ヶ月後,4月11日17時16分頃に福島県浜通りの深さ約5 kmでマグニチュード(M)7.0の地震が発生した(気象庁,2011b).この地震に伴って,塩ノ平断層に沿って地表地震断層(正断層)が長さ11 kmにわたり連続的に出現した(例えば石山ほか,2011; 杉戸ほか,2011など).この地震は東北地方太平洋沖地震の直後に活断層に沿って発生した最大の内陸地震であり,海溝で発生する巨大地震との関連が示唆される.我々は,塩ノ平断層の過去の活動履歴を調べる目的で,トレンチ掘削調査を7/29-8/25にかけて実施した.ここでは,本調査の結果の概要について紹介する.(さらに詳細はこちらから

石山達也(地震研)・杉戸信彦(名古屋大・地震火山・防災研究センター)・越後智雄(地域地盤環境研究所)・佐藤比呂志(地震研)

 


第2報(4月20日)

4月11日17時16分頃に福島県浜通りの深さ約5 kmでマグニチュード(M)7.0(暫定)の地震が発生した(気象庁,2011).この地震に伴う地表地震断層について,地震発生翌日の12日から14日にかけて現地調査を行い,今回の地震に伴って出現した地表地震断層を見いだした.第一報からの追加・変更点について述べる.

詳細はこちらから.(あるいは写真をクリック)

(石山達也・佐藤比呂志(地震研)・伊藤谷生(帝京平成大学)・杉戸信彦(名古屋大学地震火山防災研究センター)・越後智雄(地域地盤環境研究所)・加藤直子(地震研)・今泉俊文(東北大)による)


第1報(4月13日)

4月11日17時16分頃に福島県浜通りの深さ約5kmでM7.0(暫定)の地震が発生した.この地震に伴う地表地震断層について,地震発生翌日の12日から現地調査を行い,井戸沢断層として知られる活断層に沿って,地表地震断層を見いだした.

詳細はこちらから.(あるいは図をクリック)

(石山達也・佐藤比呂志・加藤直子(地震研)・八木浩司(山形大)・宮城豊彦(東北学院大)・今泉俊文(東北大)による)


過去に起きた大きな地震の余震とその後の主な地震活動

大きな地震が発生すると,必ずその後にたくさんの余震が発生する.今回はM9.0の巨大な地震だったので,余震に関しても長い期間にわたる注意が必要である.そこで参考までに,過去に起きた大きな地震とその余震活動の例として,2004年スマトラ島沖地震,2010年チリ中部地震,1960年チリ地震の余震の規模と発生時期とをまとめた.また,国内の歴史地震の例も示した.詳細はこちらから.(あるいは図をクリック)

(大木・都司・西田による)

なお,アウターライズ地震については,北海道大学地震火山研究観測センターに詳細が掲載されています.


2011年4月7日 宮城県沖のスラブ内地震

2011年4月7日23時32分ごろ,宮城県沖(北緯38.2度,東経142.0度,深さ40km)でM7.4の地震が起きました(緯度経度と深さ,マグニチュードは気象庁による).この地震について,世界中で観測された地震波の記録からWフェーズを取り出し,Kanamori and Rivera (2008)の方法で解析したところ,下図のような震源メカニズムが得られた.

グリッドサーチによる震源の位置は38.2度,141.8度,深さ49kmに求まった.Non-double couple成分の強い逆断層である.震源の深さからスラブ内地震であることが示唆される.

(横田による)


地震動分布から直接見る震源断層の破壊過程

防災科学研究所K-NET、KiK-net強震計(加速度)記録を太平洋岸に沿って南北に並べることにより、本地震の約500 kmにわたる断層破壊過程を直接かつ詳細に知ることができる。

最初の大きな断層破壊は宮城県沖で起き、強い地震波が東北日本全体に放射された(図中の紫色の線)。その数十秒後に宮城県沖で大きな断層破壊が再び起きて強い地震波が放出された(水色)。地震波の到着時刻は、破壊開始点からの距離とともに遅くなるが、距離による時間差は二つ目の断層破壊(水色)では小さい。このことは、二つ目の断層破壊が、陸から遠く離れた沖合で起きたことを示している。

それから間髪をいれずに、三つ目の断層破壊が茨城県北部の、陸に近い沖合で起き(赤色)起き、茨城県~栃木県に強い揺れが放射された。

なお、変位波形記録では、三つ目の地震は放射が加速度記録ほど明瞭でなく、断層の破壊特性や地震波の放射特性が異なっていることがわかる。

(野口・古村による)


海底ケーブル式地震計システムで観測された海面変動

釜石沖に施設されている海底ケーブル式の地震計システムによる捉えられた海面変動.

海底水圧計は、海溝側のTM1が陸から約76kmの水深約1600mに設置され、陸側のTM2は約47kmの水深約1000mの海底に設置されている。


MeSO-netでのリアルタイム地震波形

首都直下地震観測網(MeSO-net)で取得されている地震観測データから歴史民俗資料館(茨城県),松戸馬橋高校(千葉都),地震研究所(東京都)の3観測点の地震波形データをリアルタイムで表示.



ハイレートGPS波形

GEONETの1秒サンプルデータのキネマティック解析結果.地震時のリアルタイムな地殻変動が得られている.破壊開始点近傍と見られる宮城や岩手の観測点で大きな変位の前に小さな変位が観測されている.

下図左は,GEONET観測点,右図は地震時を挟む20分間のGPS波形を示す.

  • 解析ソフト:GIPSY-OASIS
  • 暦:JPL Rapid
  • 解析方法:1秒ごとのキネマティック測位解析
  • 固定点:香住(兵庫)

(横田による)

謝辞:国土地理院のGEONETのデータを使用しました.

* 京大理学研究科・防災研でも別の手法を用いて解析されています.


20-50秒および50-100秒の地震動の揺れの広がり

※ 報道関係の方へ: 動画をご使用になりたい場合は,『東京大学地震研究所 古村教授・前田特任研究員』などとCreditを入れてください.

防災科学研究所強震ネットワークK-NETおよび基盤強震観測網KiK-netの データを用い、20~50秒と50~100秒の広帯域の地震動の揺れの広がり方 を可視化した。 上下動方向の揺れ(加速度)の強さを、上向きが赤・下向きが青になるようにし て表現している。地図中+印は解析に用いた観測点の位置を示す。 地震発生直後には地震波が震源位置(星印)を中心とした同心円上に広がるが、 断層面が長さ約500kmにわたるため、徐々にその形が崩れていく様子が確認できる。(それぞれの図をクリックすると動画が見られる)

(古村・前田による)



津波マグニチュードMt(K.Abe,1979)-津波から見た地震の規模-

(阿部勝征 東大地震研名誉教授より)

以下の各地の津波高Hを用いて、東北地方太平洋沖地震の津波マグニチュードMtを求めた。

  • A formula is Mt = log H + 9.1 + deltaC

(Ref. Abe, K., J. Geophys. Res., 84, 1561-1568, 1979)

  • Mt: Tsunami magnitude
  • H: Maximum amplitude on tide gage record in meter
  • deltaC: station-source correction
H(m) deltaC Mt
Honolulu 0.7 0.0 9.0
Hilo 1.4 -0.4 8.9
Aleutians (3) 1.2 -0.2 9.0
California (4) 1.4 0.1 9.4

この平均から、今回の地震の津波マグニチュード Mt=9.1 が 得られた。この値は、地震観測から求めたMw=9.1と同じ規模 であり、今回の津波は地震の規模に相当したものであることを 示唆する。

なお、過去に津波マグニチュードMt=9.0以上であった地震は以下の通り。

  • 1837 Valdivia, Chile       9.3
  • 1841 Kamchatka           9.0
  • 1868 Arica, Chile          9.0
  • 1877 Iquique, Chile        9.0
  • 1946 Aleutians             9.3
  • 1952 Kamchatka           9.0
  • 1957 Aleutians             9.0
  • 1960 Chile                   9.4
  • 1964 Alaska                 9.1
  • 2004 Sumatra, Indonesia  9.0

3月18日 第892回談話会発表資料より

3月18日の談話会は通常の発表を取り下げ,このたびの地震に関する発表と致しました.研究者間の情報共有のための研究発表会ですので,専門的,かつ,研究途中のものがほとんどですが,可能な限りこのサイトで公開致します.節度あるご利用の仕方をお願い致します.

第892回談話会発表資料(詳細はこちらから)

※ 報道関係の方へ: フラッシュで公開したものについては,原則として図の転用を避けて頂きたいものです.一方でPDFのダウンロードが可能なものについては,Creditを入れて頂ければご使用頂いても構いません.『東京大学地震研究所 ●●ら』『東大地震研●●教授 談話会発表資料より』など,研究機関名と発表者名とを言及してください.よろしくお願い致します.


全国高密度強震計地震計(K-NET/KiK-net)が記録した揺れの広がり

※ 報道関係の方へ: 動画をご使用になりたい場合は下記からダウンロードしてください.Creditは『東京大学地震研究所』でお願い致します.

詳細はこちらをクリックしてください.

(古村・武村・竹本による)

最大加速度と最大変位

震源に近いK-NET築館観測点(宮城県)では、2933 cm/s/sの強い加速度が観測され、茨城県から岩手県南部にかけての広い範囲で200 cm/s/sを超える強い加速度が広がった。強い加速度分布は、岩手~宮城県、福島県、栃木~茨城県の3カ所に延びており、これらの地域の東隣で大きな断層滑りとが起きた可能性がある。強い揺れは、糸魚川-静岡構造線付近を超えると急激に弱まっており、付近の地下で大きく減衰した可能性もある。

地動変位の分布を見ると、東北から関東地方にかけて最大50 cmを超える大きな地動変位が起きたことがわかった。特に仙台平野では、100 cmを超える大きな地動変位が起きた。

石巻と陸前高田での地動加速度と地動変位

地震動が強かった石巻と陸前高田での地動加速度と地動変位を示す。約50秒間を空けて2つの強い地震波群の到来がわかる。宮城県沖と岩手県沖の2カ所の大きな断層滑り(アスペリティ)から、強い地震波が放出されたものと思われる。

地動変位には、40~50秒の長周期のパルス2波が見られ、その振幅は50-100cmを超える。百数十秒間にわたる長い揺れ時間は、巨大地震の長時間の断層破壊過程を表している。


速度波形と応答スペクトル

強い揺れを観測した3-NET宮城県築館、塩竃、茨城県日立の速度波形と、その応答スペクトルを、兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)における鷹取と葺合地点の波形と比較した。

今回の地震では、木造家屋の被害に直結する周期1~2秒前後の応答が100cm/s程度以下と小さく、兵庫県南部地震の鷹取や葺合地点(200~300cm/s)の半分以下であった。

(古村による)



地震動の距離減衰特性(更新版)

  • モーメントマグニチュードはWphaseによる震源メカニズムによりMw=9.0としている。
  • 東大地震研による断層モデルをもとに断層最短距離を推定した。
  • 地震のタイプはプレート間地震とした。距離減衰式は司・翠川(1999)を外挿してMw9.0に適用した。
  • 防災科研,地震研の提供データは、最大加速度、最大速度はいずれ0.1~10Hzのバンドパスフィルターを掛けて求めた。
  • Nilim、PAWIは国総研、港空研のデータリストに載せている数値である。
  • ERIの観測点には固い地盤上のものが多い。

(司・三宅・纐纈による.データ提供:防災科学技術研究所)


全国高感度地震計(Hi-net)で記録した揺れの広がり

※ 報道関係の方へ: 動画をご使用になりたい場合は下記からダウンロードしてください.Creditは『東京大学地震研究所』でお願い致します.

Hi-net観測データを用いて、地表の最大加速度(PGA)を求めた(注意:震源域に近い場所では地震計が振り切れており、数値は正しくありません)。震源域に近い岩手県中部から茨城県沖の約500kmの広い範囲では、200cm/s/sを超える強い加速度が観測された。

地動加速度は、糸魚川-静岡構造線を境に西側で急激に弱まっており、この付近の地下で地震波が大きく減衰した可能性がある。(左図をクリックするとアニメーションをご覧いただけます)

詳細はこちらをクリックしてください.

(古村・武村による)


防災科研Hi-netエンベロープ波形モニター

防災科学技 術研究所高感度地震観測網Hi-netの観測点のうち、東日本の太平洋沿岸付近に設置されている観測点のエンベロープ波形記録を1時間毎に示します。

エンベロープはHi-net速度計の上下動成分記録に2-16Hz帯域通過フィルターをかけRMSを計算したものです。

(観測開発基盤センター・小原一成)


防災科研F-net波形記録モニター

防災科学技 術研究所広帯域地震観測網F-netの観測点のうち、東日本の太平洋沿岸付近に設置されている観測点の波形記録を1時間毎に示します。

1時 間毎波形画像の上段は、F-net広帯域地震計の上下動成分記録に10-100秒帯域バンドパスフィルターをかけたもの、下段はF-net速度型強震計の上下動成分記録に2-16Hz帯域バ ンドパスフィルターをかけRMSを計算したものです。

(観 測開発基盤センター・小原一成)

画像をクリックしてください


東北太平洋沖の地震活動状況

下の画像をクリックしてご覧ください.

( 観測開発基盤センター,地震火山情報センター )


3月13日20時までの余震分布

2011年3月13日までの余震分布を,地震調査研究推進本部による海溝型地震の想定震源域とともに示した.


防災科研Hinet & F-net による地震波形

防災科学技術研究所と連携をとって, Hi-net & F-net の一部の観測点における連続波形画像ページを作成しました.画像をクリックしてください.

(観測開発基盤センター・地震火山情報センターによる)


震源過程インバージョン

遠地実体波をKikuchi et al. (2003)の方法でインバージョンした.得られた震源過程モデルのすべり分布を下図に示す.

(Poiata・三宅・纐纈による)


津波の逆伝播図

津波の逆伝播図とは,ある時刻から地震発生時まで観測点から津波の波面を遡った図である.

左図: 陸上,海底の津波観測点の初動時刻からの逆伝播図.青い波面が引き波,赤い波面が押し波に対応し,この波面の包絡線が津波波源に考えられる.三角は津波観測点で,赤は第一波が押し波の観測点,青は第一波が引き波の観測点,紫は微弱な引き波の後に押し波が来た観測点を示す.今回の地震の津波波源は,海溝付近まで広がっていたと考えられる.

右図: 信頼性が高い海底津波計の,押しの第一波のピーク時刻からの逆伝播図.波面が集まるピンクの円内に,今回の地震で最も隆起した領域があると考えられる.

(上野・佐竹による)


3月12日 03:59に長野県北部で発生した地震をとらえる地震計

3月12日 03:59に長野県北部で発生した地震(M6.7)の地震動を捉える萩原式地震計.東京都文京区の地震研究所 地震計博物館にて.

(撮影:渡邊篤志技術職員)

画像をクリックして動画をご覧ください


津波シミュレーション(佐竹教授)

※ 報道関係の方へ:ダウンロードしてご使用になる場合は,『東京大学地震研究所 佐竹健治教授による』とCreditを入れてください.

ダウンロードはこちらから.(右クリックして保存してください.)

津波シミュレーション(古村教授)

右図をクリックすると動画がご覧になれます.

詳細はここをクリックしてください.

※ 報道関係の方へ:ダウンロードしてご使用になる場合は,『東京大学地震研究所 古村孝志教授・前田拓人特任研究員による』とCreditを入れてください.

ダウンロードはこちらから.(右クリックして保存してください.)


東北地方の12日午前の空撮

朝日新聞社社機より佐竹健治教授撮影 3月12日午前

全ての写真を見るにはここをクリック.または以下の写真をクリックしてください.

※ 報道関係の方へ:写真の引用については,朝日新聞社にお伺いください.

大船渡市


Wphaseによる震源メカニズム解析

世界中で観測された,この地震による地震波の記録からWフェーズを取り出し,Kanamori and Rivera (2008)の方法で解析した.左から順に,地震研,USGS,Global CMTによるメカニズム解を示す.いずれも低角逆断層メカニズムが得られている.

グリッドサーチにより,Wphase解の最適な震源位置を求めたところ,南北の広い領域に良い波形フィットが得られた.ベストフィットとなったのは,パラメータとして,Mw9.03,走向:202,傾き:10,Half duration:70s,深さ24km,北緯38度,東経143度(赤い星の地点)だが,上述の通り,南北の広い領域で良い波形フィットが得られている.


地震動の距離減衰特性(暫定)

USGSによるおよその断層モデルを参考にして断層最短距離を推定し,司・翠川(1999)を外挿したモデルと比較した。モーメントマグニチュードは地震研のWphaseメカニズム解によりMw=9.0とした。地震のタイプはプレート境界地震。

DPRI以外は地震研提供のデータ、最大加速度、最大速度はいずれも0.1~10Hzのバンドパスフィルターをかけた。


東大地震研で観測された地震波形

東大地震研観測点記録から地動変位波形を計算。最大60cm(方振幅)の揺れの後、数cmの揺れが10分以上継続した。

(古村・武村による)


長周期地震動の比較: 都心の地震動の特徴と構造物の影響

文京区(東大地震研)での記録をもとに速度応答スペクトルを計算した。2004年新潟県中越地震と比較すると,中越沖地震では周期7秒前後の長周期地震動が強く発生して超高層ビルを中心に軽微な被害が出たが、今回の地震ではそれと同程度の強い速度応答が、0.5~20秒の広い周期帯で発生。超高層ビルだけでなく、木造家屋(0.5秒以下)~低層建築(1秒前後)~超高層(数秒)ビルなど全て大きく揺れたと考えられる。

(古村・武村による)

強震記録を掲載(東大地震研・産総研)


強震記録(東大地震研・産総研)

地震研観測点で観測された加速度(上図)と速度(下図)波形.

※ 専門家の皆様: こちらからアスキーデータのダウンロードができます.

(三宅・古村・武村による)



首都直下地震観測網による地震波形

こちらで最新版が見られます.

(小原・鶴岡による)

 


気象庁の震源データによる地震の分布

気象庁が発表した震源データをもとに本震以降の地震をプロットした.

(西田・福井・大木による)


世界で起きた大きな地震

1900年以降に起きたMw9.0以上の地震を世界震源地図の上にプロットしたもの.黄色の四角は断層面をあらわし,マグニチュードの大きさにおおむね対応するように描かれている.(クリックで拡大)


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