第１回　「東北地方太平洋沖で発生する地震・津波の調査観測」運営委員会　議事録

１．日時 平成25年10月11日（金）　13時30分〜17時00分

２．場所 東京大学地震研究所　１号館　３Ｆ　会議室

３．出席者

委員長　　　長谷川　昭　東北大学大学院理学研究科名誉教授　

委　員　　　松澤　　暢　東北大学大学院理学研究科教授　

　　　　　　西澤あずさ　海上保安庁海洋情報部技術・国際課海洋研究室長

　　　　　　畑中　雄樹　国土交通省国土地理院地理地殻活動研究センター

地殻変動研究室研究室長

　　　　　　土井　恵治　気象庁地震火山部地震予知情報課長

　　　　　　篠原　雅尚　東京大学地震研究所教授

　　　　　　末次　大輔　海洋研究開発機構地球内部ダイナミクス領域

プログラムディレクター

　　　　　　日野　亮太　東北大学災害科学国際研究所教授

　　　　　　小平　秀一　海洋研究開発機構地球内部ダイナミクス領域

プログラムディレクター

　　　　　　佐藤比呂志　東京大学地震研究所教授

　　　　　　宮内　崇裕　千葉大学大学院理学研究科教授

　　　　　　池原　研　　産業技術総合研究所地質情報研究部門副研究部門長

　　　　　　金松　敏也　海洋研究開発機構地球内部ダイナミクス領域技術研究主幹

　　　　　　宍倉　正展　産業技術総合研究所活断層・地震研究センター研究チーム長

　　　　　　谷岡勇市郎　北海道大学理学研究院教授

　　　　　　笠谷　貴史　海洋研究開発機構地球内部ダイナミクス領域技術研究副主幹

オブザーバー吉田　康宏　文部科学省研究開発局地震・防災研究課地震調査管理官

新井　雅史　文部科学省研究開発局地震・防災研究課本部係長

三浦　哲　　東北大学大学院理学研究科地震・噴火予知研究観測センター

教授

室谷　智子　東京大学地震研究所特任研究員

石村　大輔　千葉大学大学院理学研究科特任研究員

中東　和夫　神戸大学理学研究科特命助教

藤原　敦子　運営委員会事務局

４．議　題 （資料番号）

委員長　挨拶

配付資料・出席者の確認

文部科学省研究開発局　地震・防災研究課　挨拶

議事�T　事業実施状況と今後の計画

１.　事業の概要

(東京大学地震研究所 篠原雅尚） （東北25-1-0）

２．　個別テーマの事業実施状況と今後の計画

1-1　東北地方太平洋沖地震の震源域における長期海底地震観測

(東京大学地震研究所 篠原雅尚） （東北25-1-1-1）

1-2　宮城県沖における海底地震繰り返し観測

(東北大学災害科学国際研究所 日野亮太) （東北25-1-1-2）

2-1　変動地形学的および地震地質学的活構造調査

(千葉大学 宮内崇裕：発表者 石村大輔） （東北25-1-2-1）

2-2　陸域構造調査

(東京大学地震研究所 篠原雅尚：発表者 三浦哲) （東北25-1-2-2）

3-1　海底の地震性堆積物を用いた地震発生間隔の研究

(産業技術総合研究所 池原研) （東北25-1-3-1）

3-2　海底地すべりと堆積物の強震動による変形の研究

(海洋研究開発機構 金松敏也) （東北25-1-3-2）

3-3　北海道太平洋沿岸と三陸海岸における津波堆積物調査

(北海道大学 谷岡勇市郎) （東北25-1-3-3）

4-1　海底地形調査

(海洋研究開発機構 笠谷貴史) （東北25-1-4-1）

総合討論

議事�U　その他

５．配布資料

東北25-1-0-1　「東北地方太平洋沖で発生する地震・津波の調査観測」運営委員会　　　　議事次第

東北25-1-0-2　「東北地方太平洋沖で発生する地震・津波の調査観測」運営委員会　　　　出席者一覧

東北25-1-0-3　「東北地方太平洋沖で発生する地震・津波の調査観測」運営委員会　　　　座席表

東北25-1-0　　事業の概要

東北25-1-1-1　東北地方太平洋沖地震の震源域における長期海底地震観測

東北25-1-1-2　宮城県沖における海底地震繰り返し観測

東北25-1-2-1　変動地形学的および地震地質学的活構造調査

東北25-1-2-2　陸域構造調査

東北25-1-3-1　海底の地震性堆積物を用いた地震発生間隔の研究

東北25-1-3-2　海底地すべりと堆積物の強震動による変形の研究

東北25-1-3-3　北海道太平洋沿岸と三陸海岸における津波堆積物調査

東北25-1-4-1　海底地形調査

６．議事概要

　

　長谷川委員長から「本年度で本委託研究が終了するに当たり、残念ながら中途で委託研究が終了することになるが、そのことを踏まえた報告書の作成を目指して研究を行っていただきたい」との挨拶があった。

配布資料の確認、出席者の確認を行った。

　文部科学省研究開発局地震・防災研究課より、「本来予定されていた調査研究をすべて終えることなく本委託が終わることになり残念だが、これまで得られた成果を今後の地震発生予測に生かしていきたい」との挨拶があった。

委員長の下、議事を進行した。

議事�T　事業実施状況と今後の計画

１．事業の概要

（東京大学地震研究所）

　事業全体の概要と変更点が説明された。事業予定の変更に伴い、茨木・房総・福島沖などの日本海溝南部を中心に調査研究が行われていることが説明された。また、これまでに各項目で実施された調査研究の概要が説明された。

２．個別テーマの事業実施状況と今後の計画

1-1　東北地方太平洋沖地震の震源域における長期海底地震観測

（東京大学地震研究所）

　平成24年度に開始した福島沖の海底地震観測は平成25年11月に終了する予定であることが説明された。平成24年度に回収された海底地震計データの解析した結果、1606個の初期震源に対し458個の精度の良い再決定を得ることが出来たことが説明された。2011年東北地方太平洋沖地震前後で震源分布を比較すると、福島沖では深さ15�q以浅のプレート境界、茨城沖ではプレート境界付近、房総半島沖ではフィリピン海プレート周辺で、それぞれ東北地震前には見られなかった地震活動が見られることが説明された。それに対し、今後震源メカニズム等の情報も使用して地震活動の詳細な把握を進めて頂きたいというコメントなどが出された。

1-2　宮城県沖における海底地震繰り返し観測

(東北大学災害科学国際研究所)

　平成25年度の海底地震観測で得られたデータは現在処理中であることが説明された。これまでに海底水圧計で得られたデータの特徴と、各水圧計のセンサー特性補正について説明がされた。また、東北地震の余効変動の抽出を行っていることが説明された。2011年12月までの海底地殻変動観測データを用いて、粘弾性緩和の影響を取り除きプレート境界の余効すべりの推定を行った結果、海溝軸近傍で大きなすべり域が見られることが説明された。それに対し、水圧計のドリフトの原因についての議論などが行われた。

2-1　変動地形学的および地震地質学的活構造調査

（千葉大学）

　平成24年度の三陸海岸で実施したトレンチ・ボーリング調査で得られた試料の解析結果が説明された。トレンチ調査の結果、山田町小谷鳥では11枚のイベント堆積物が見られ、最上位自然層の年代は約300から500年前、トレンチ底面の年代は約3000年前であることが説明された。さらに堆積速度曲線を作成すると、1000年前以降に沈降が起きたことが示唆されることが説明された。また、海水位調査は現在継続中であることが報告された。それに対し、堆積物に対する津波の引き波の影響についての議論などが行われた。

2-2　陸域構造調査

（東京大学地震研究所）

　東北地方で現在実施中のGNSS観測について１観測点については雷害を受け欠測中だが残り19点は順調に稼働中であることが報告された。2012年12月から2013年７月までのデータを用いて、解析を行った結果、GEONET観測網のみでは得られない、高分解能の変位場が得られ、上下変位に北測線では西から、わずかな隆起、沈降、大きな隆起が見られること、南測線では全体的に隆起が見られることが説明された。それに対し、上下変位の原因などについての議論が行われた。

3-1　海底の地震性堆積物を用いた地震発生間隔の研究

（産業技術総合研究所）

　平成25年度はこれまで得られた試料の解析を行い、その結果三陸沖前弧域上部斜面ではタービダイトが少ないことが明らかになった。そこで、前弧域下部である日本海溝において2013年８月に24本のコアの採取を行ったことが報告された。今後試料の解析を進める予定であるが、初期的な解析な結果、タービダイトが数多くみられることが説明された。それに対し、タービダイトの発生原因や、堆積物の年代決定などにについての議論が行われた。

3-2　海底地すべりと堆積物の強震動による変形の研究

（海洋研究開発機構）

　平成25年度は海溝軸堆積物および前弧海盆堆積物の磁気解析を実施したことや新たに堆積物の採取を行ったことが報告された。試料中の帯磁率異方性にはコア採取時の影響が見られる場合があることなどが説明された。

3-3　北海道太平洋沿岸と三陸海岸における津波堆積物調査

（北海道大学）

　平成24年に引き続き釧路地域で得られた試料の解析を進めた結果、17世紀の津波堆積層が２枚確認され、浸水シミュレーションの結果と一致することが説明された。また、平成25年度は新たに根室、別海地域で試料採取を行い、現在解析中であることが報告された。それに対し、コア採取地点での高潮の影響などについて議論が行われた。

4-1　海底地形調査

（海洋研究開発機構）

　平成25年度は平成24年度にコンパイルした海底地形データに、新たに取得したデータの追加作業を行っていることが報告された。また、大深度での海底地形を得るために、曳航体を用いたSBP調査を実施し、海底面割れ目と断層との関係や、シービームでは得られない詳細な海底地形を調査中であることが説明された。それに対し、海底地形データの精度に関して質問があり、現状は水平方向100から200m程度を想定していることが説明された。

総合討論

　成果報告書の取りまとめ方について議論が行われた。本事業は、当初の全計画の実施が難しくなり、計画していた調査観測研究が一部実施できない予定である。そこで、本事業の成果および課題を、わかりやすくまとめた報告を、年次報告とは別途作成してはどうかという意見が出され、前向きに検討することとした。

議事�U　その他

　次回の運営委員会は２月から３月の初旬にかけて行う予定であることが報告された。