【3月25・26日(木・金)】定年退職教員 最終講義の申し込み受付開始

 地震研究所では今年度(令和2年度)末に4名の教員が定年退職を迎えます。令和元年度末に定年退職した1名の教員と合わせ、5名の「退職教員 最終講義」を下記のとおりオンラインにて開催いたしますので、ご案内申し上げます。  
最終講義の聴講希望の受付は、2月22日(月)〜3月19日(金)17時の期間に、以下URLよりオンラインにて行います。
聴講を希望される方は、期間中に申し込みをお済ませくださいますようお願いいたします。

皆様のご来聴をお待ちしております。

日  時  令和3年3月25日(木)・26日(金)午前11時~
場  所  オンラインにて開催
申し込み  2月22日から3月19日の間に、各フォームよりお申込みください。

3月25日(木)

1. 11:00-12:00
講演者: 川勝 均教授
演 題: 「広帯域地震計とめぐる冒険」
(聴講申し込みフォーム)
https://forms.office.com/Pages/ResponsePage.aspx?id=T6978HAr10eaAgh1yvlMhGwBASN_Np1Hhf518aUoyMBUMExaWUxTVTNMRE1FRkczSzlFT1hLN0laWC4u

2. 13:30-14:30
講演者: 纐纈 一起教授
演 題: 「地震動の研究」
(聴講申し込みフォーム)
https://forms.office.com/Pages/ResponsePage.aspx?id=T6978HAr10eaAgh1yvlMhGwBASN_Np1Hhf518aUoyMBUMkJRRkJKMjZFNUhFMFJCRFdBSVg3T1BWRi4u

3. 15:00-16:00
講演者: 森田 裕一教授
演 題: 「地震・火山観測3.0世代の思い」
(聴講申し込みフォーム)
https://forms.office.com/Pages/ResponsePage.aspx?id=T6978HAr10eaAgh1yvlMhGwBASN_Np1Hhf518aUoyMBUQ05IS1E0WVhYMjRLMDg5RFhGME40MzJQMC4u

3月26日(金)

4. 13:30-14:30
講演者: 佐藤 比呂志教授
演 題: 「震源断層と日本列島の形成」
(聴講申し込みフォーム)
https://forms.office.com/Pages/ResponsePage.aspx?id=T6978HAr10eaAgh1yvlMhGwBASN_Np1Hhf518aUoyMBUMllBRVEyR1pTNUs1MjVQMDdCRDhCUk8zWi4u

5. 15:00-16:00
講演者: 平田 直教授(*令和元年度定年退職)
演 題: 「観測地震学から地震防災学へ」
(聴講申し込みフォーム)
https://forms.office.com/Pages/ResponsePage.aspx?id=T6978HAr10eaAgh1yvlMhGwBASN_Np1Hhf518aUoyMBUMDg5NFhDM1JGTlZIUUtXVDg1RjNXMzUxRS4u

なお、東京大学退職教員の最終講義の情報は、東京大学のホームページにも掲載されておりますので、こちらもご覧ください。

2011年新燃岳噴火に伴う調和型微動のモデル

武尾 実 (東京大学名誉教授・地震研究所外来研究員)

Harmonic tremor model during the 2011 Shinmoe-dake eruption, Japan

Geophysical Journal International 224, 2100-2130 (2021) https://doi.org/10.1093/gji/ggaa477

 2011年霧島新燃岳噴火の際には,マグマ湧出期からブルカノ式噴火の初期に掛けて調和型微動が多数発生した.調和型微動は多くの火山で観測されるが,その発生機構は未だ明らかになっていない.この論文では,火道(マグマの通り道)浅部での火山性流体の流動をモデル化して,観測された調和型微動の特徴を再現する事を試みた.調和型微動に関するこれまでの観測研究は,多くがその周波数のピークにのみ注目して,位相の特徴(波形の事)は解析対象としてこなかった.本研究では,微動源の近傍で観測したデータの長所を生かして,周波数のピークのみならず位相の特徴も含めて観測データを再現する事で,調和型微動の発生機構に迫ることを目指した.この論文では,局所的に強度の弱い領域がある流路内を粘性流体が流れる状態をモデル化し,非振動的なエネルギーの変化(例えば,火道深部の圧力)でも振動を引き起こす自励振動が発生する事を示した.さらに,2011年新燃岳の活動期間中に観測された代表的な調和型微動について,火道深部の圧力を変化させるだけで,その周波数構造や波形の特徴を微動の始まりから終わりまで再現する事に成功した.図1の右上側には,波形の特徴を比較するために相図 (観測データとその積分を2次元グラフで示した図)とそれに対応する観測波形を,時間帯(a,b,c,d)毎に示してある.右下側には,モデルから計算される流路狭窄部の面積変化の相図と波形を示してある.両者はよく一致しており,この結果は,調和型微動の発生機構として火山性流体の流動が有力なメカニズムである事を示している.

【研究速報】2021年2月13日23時07分 頃の福島県沖の地震

最終更新日2021年2月15日
ウェブサイト立ち上げ2021年2月14日

2月13日23時07分頃、福島県沖で起きた地震についての情報を、ここで更新してまいります。

*報道関係の皆さまへ:図・動画等を使用される際は、「東京大学地震研究所」と、クレジットを表示した上でご使用ください。また、問い合わせフォームよりご連絡ください。


2011年東北沖地震による2021M7.3福島沖地震への影響

2021年2月13日,福島沖(37.6°N, 141.5°E)でMj7.3の福島沖地震が発生し、最大震度は福島県と宮城県で震度6強であった.この地震は東西圧縮の逆断層タイプであり,沈み込む太平洋プレートのスラブ内地震であると考えられる.この地震に2011年M9東北沖地震がどのように影響したかは,今回の地震の発生メカニズムを考える上で重要である.

ここでは,Freed et al. (2017),Becker et al. (2018)による2011年東北沖地震後の応力変化モデルをもとに,福島沖の震源域付近の応力変化をプロットする.Freed et al. (2017) は2011年3月11日以降3年間の地殻変動データをもとに,日本列島下の粘性構造と余効すべり分布を求めた.これにもとづき,Becker et al. (2018) は東北沖地震後の粘弾性緩和と余効すべりの影響を考慮した地下の応力場の時間変化を計算した.

図1は緯度38°Nの地下断面における東北沖地震による応力の時間変化である(東北沖地震以前の応力を0とした).左列は平均法線応力成分 (σ112233) / 3 および地殻変動ベクトル,右列はvon Mises応力および震源球(側面表示)による応力パターンをあらわす.平均法線応力成分を見ると,上盤側が広く伸張的である一方、震源域を含む下盤側は圧縮的な応力変化を受けている.一方、剪断応力をあらわすvon Mises応力と震源球のパターンを見ると,震源域では剪断応力が~1 MPa程度増加し,東西圧縮を受けている.この応力変化は,今回の福島沖地震の震源メカニズムと調和的であり,東北沖地震が今回の地震をトリガーした可能性を示す.

今後,より正確な応力変化の見積もりのために,10年間の地殻変動データにもとづく粘弾性緩和と余効すべりの影響を含んだ応力変化モデルを求める必要がある.

(地震予知研究センター 橋間昭徳)

参考文献

  1. Freed, A. M., A. Hashima, T. W. Becker, D. A. Okaya, H. Sato, and Y. Hatanaka (2017), Resolving depth-dependent subduction zone viscosity and afterslip from postseismic displacements following the 2011 Tohoku-oki, Japan Earthquake, Earth Planet. Sci. Lett., 459, 279-290.

2. Becker, T. W., A. Hashima, A. M. Freed, and H. Sato (2018), Stress change before and after the 2011 M9 Tohoku-oki earthquake, Earth Planet. Sci. Lett., 504, 174-184, doi:10.1016/j.epsl.2018.09.035.


W-phase解析結果 (モーメントテンソル解)
 世界中で観測された、この地震による地震波の記録からWフェーズを取り出し、Kanamori and Rivera (2008)の方法で解析した モーメントテンソルインバージョンによるメカニズム解です.

(地震火山情報センター 鶴岡 弘)

第6回サイエンスカフェ(オンライン)開催報告

「第6回サイエンスカフェ」を、 地震・火山噴火予知研究協議会と広報アウトリーチ室の共同で、2021年2月10日にオンラインで開催いたしました。

6回目となる今回は、「歴史記録を地震の長期予測に役立てる」というテーマで開催し、話題提供者に佐竹健治 教授 (東京大学地震研究所)、また、ゲストに 杉森玲子 准教授(東京大学史料編纂所)を迎え、加藤尚之 教授の司会のもと、安政江戸地震や安政東海地震の研究などを例として地震学と歴史学の立場からお話しがされました。

【地震・火山噴火予測研究のサイエンスカフェ 】地震や火山噴火に関する研究の成果は、予測の基礎となることが期待されています。これまでの研究から、地震や火山噴火のメカニズムへの理解は深まってきました。また、今後発生する可能性のある地震や火山噴火を指摘することもある程度はできます。しかし、規模や発生時期についての精度の高い予測はまだ研究の途上です。このサイエンスカフェでは、地震・火山噴火の予測研究の現状について研究者と意見交換を行い、研究者・参加者双方の理解を深めることを目的とします。

ダイオプサイド(単斜輝石)の拡散クリープ

Subhajit Ghosh, 小泉早苗, 平賀岳彦

Subhajit Ghosh(Institut des Sciences de la Terre d’Orléans), Sanae Koizumi, Takehiko Hiraga

Journal of Geophysical Research: Solid Earth, https://doi.org/10.1029/2020JB019855

 高温・大気圧下での一軸圧縮試験より下部地殻主要鉱物の一つである単斜輝石(CaMgSi2O6)の高温変形特性を明らかにすることに成功した。具体的には、通電焼結法を用いて僅かにフォルステライト(Mg2SiO4)もしくはアノーサイト(CaAl2Si2O8)を含み、粒径が0.43 mm から4.07 mm まで大きく異なる高緻密多結晶体を合成した。本試料を1050~1170°C下での変形実験に用いた。同じ粒径および温度において、アノーサイトを含む試料がフォルステライトを含む試料の3倍程度柔らかい結果となった。応力-歪速度の線形的な関係から拡散クリープであること、また、粒径-粘性率の関係から体(結晶内)拡散がクリープを律速していることが分かり、試料間の固さの違いは、Alの単斜輝石格子拡散への促進効果と考えられる。これらの実験結果に基づいて、単斜輝石の拡散クリープ則を提案した。本クリープ則を基準にこれまでに複数の研究グループから報告された実験データを再解析した。従来、粒界拡散クリープと認定され各報告間で矛盾するデータとされてきたものが、体拡散クリープで統一的に説明できることを示した。得られた拡散クリープの著しく大きな活性化エネルギー720 kJ/molは単斜輝石を主要とする岩石の高温下での著しい弱化を予想する。



本研究で明らかになった単斜輝石多結晶体の高温変形特性(緑線)。差応力10 MPa、粒径10 μmのときの歪速度のアレニウスプロット(Di(Fo))他の主要岩石鉱物(点線)と比較されている。Anorthite: アノーサイト、Enstatite: 直方輝石、Fe-free Olivine: Feなしオリビン、Fe-Olivine: Fe成分10%のオリビン

1000点観測で見えてきた2000年鳥取県西部地震に伴う断層構造の複雑性

加藤愛太郎,酒井慎一,松本聡(九大),飯尾能久(京大)
Conjugate faulting and structural complexity on the young fault system associated with the 2000 Tottori earthquake
Communications Earth & Environment volume 2, 13 (2021)
https://www.nature.com/articles/s43247-020-00086-3

 2000年鳥取県西部地震(M7.3)の震源域に1000点の地震観測網を設置して,約1年間にわたり連続波形記録を取得しました。1000点規模の地震計をある地域に高密度に展開して長期間の観測を行うことは珍しいことです。取得した波形データを用いて,高い精度で震源分布と地下の地震波(P波)速度構造の推定(空間分解能0.5 km)に成功しました。

 震源分布から推定された地下の断層形状はとても複雑で,北北西-南南東走向の断層面だけでなく西南西―東北東の共役関係にある断層面も複数分布することが,様々なスケールにおいて明らかになりました。また,断層面の深部形状は,震源域北西部では北東側へ傾斜するのに対し,震源域南東部では南西側へ傾斜しており,ねじれていることも分かりました。すなわち,大地震は平らな1つの断層面で起きるのではなく,共役断層も含めた複数の断層面がずれることで発生していることを意味します。

 P波の速度構造の特徴を見てみると,震源域北西部に顕著な低速度域が存在し,その境界は西南西―東北東走向の断層面に一致することが明らかになりました。また,2000年鳥取県西部地震の発生時に大きくずれた領域は,全体的にP波速度が大きい特徴があることも分かりました。

 低速度域に存在する断層の長さ200 mの地震活動の集まり(クラスター)を調べてみると,厚さ10 m以下のとても狭い領域に集中しており,4つの板状構造(長さ~30 m)に分かれていることが示されました。さらに,この地震活動は,約30 m/日の速さで断層面に沿って深い側へと移動していたことも判明しました。この移動速度から判断すると,地下で流体が移動することで地震活動が誘発された可能性が考えられます。このように,断層構造の複雑性と流体の移動が地震活動のパターンに影響を与えていることが示されました。

 本地震観測を遂行するに当たり,関係自治体,関係機関,住民のボランティアの方々,0.1満点観測グループの方々の多大なるご協力をいただきました。また,(株)近計システムの方々には機器開発からデータ整理に至るまでご尽力をいただきました。記して,心から敬意と感謝の意を表します。

図1.地震観測網の配置図.(a) 2000年鳥取県中部地震の震源域(青四角).(b)地震観測点の位置(赤色四角形),震央分布(青色丸)と2000年鳥取県中部地震の震央(赤星印).(c)解析した地震の規模別累積度数分布.(d)P波速度構造の推定に使用した格子点の分布(×印)。

東京都現代美術館「MOTアニュアル2020透明な力たち」に協力

東京都現代美術館 「MOTアニュアル2020透明な力たち」に、資料の貸し出しを
通じた協力を行いました。

https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/mot-annual-2020/

会期:2020年11月14日(土)- 2021年2月14日(日)
会場:東京都現代美術館 企画展示室 3F
主催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館
協力:リカシツ、理科室蒸留所、関谷理化株式会社、独立行政法人国立科学博物館、東京大学地震研究所、オーストリア文化フォーラム東京
助成:公益財団法人野村財団(久保ガエタン)

【2021年1月6-19日オンライン開催・地震研究所一般公開〈 バーチャル展示〉】

今年はコロナウィルスの影響で、7月の現地開催は取りやめとなりましたが、2020年9月のライブ配信に引き続き、2021年1月6-19日まで、バーチャル展示をオンライン開催します。詳細情報は確定次第、随時下記ホームページにてご案内します。

詳細は:2020年一般公開HP