ここでは,Freed et al. (2017),Becker et al. (2018)による2011年東北沖地震後の応力変化モデルをもとに,福島沖の震源域付近の応力変化をプロットする.Freed et al. (2017) は2011年3月11日以降3年間の地殻変動データをもとに,日本列島下の粘性構造と余効すべり分布を求めた.これにもとづき,Becker et al. (2018) は東北沖地震後の粘弾性緩和と余効すべりの影響を考慮した地下の応力場の時間変化を計算した.
Freed, A. M., A. Hashima, T. W. Becker, D. A. Okaya, H. Sato, and Y. Hatanaka (2017), Resolving depth-dependent subduction zone viscosity and afterslip from postseismic displacements following the 2011 Tohoku-oki, Japan Earthquake, Earth Planet. Sci. Lett., 459, 279-290.
2. Becker, T. W., A. Hashima, A. M. Freed, and H. Sato (2018), Stress change before and after the 2011 M9 Tohoku-oki earthquake, Earth Planet. Sci. Lett., 504, 174-184, doi:10.1016/j.epsl.2018.09.035.
W-phase解析結果 (モーメントテンソル解) 世界中で観測された、この地震による地震波の記録からWフェーズを取り出し、Kanamori and Rivera (2008)の方法で解析した モーメントテンソルインバージョンによるメカニズム解です.
Case 1とCase 2は,それぞれ島の南西側と南東側が崩壊し,崩壊物が海底山体の斜面上へ流出するというシナリオである。 すべての場合において,海面上の新しい島の一部と海面下の既存山体を合わせた部分が崩壊する状況を想定している。 陸上部分は崩壊量全体の20-30%程度である。Case 2Cでは,島中央の火砕丘の一部も含まれる。なお,モデル内の重力流の底面摩擦係数については,従来の研究にもとづき陸上域,水域ともに0.1,重力流―海水二層の界面抵抗係数は0.2とした。
[数値シミュレーション結果の例]
図 3 Case 2Cの計算結果。4分毎,24分まで。
[最大波高分布]
図 4 (a) Case 1A,(b) Case 1C,(c) Case 2C,(d) Case 2D。 それぞれ波高のスケールが異なることに注意。(b)-(d)では,波源近傍では波高20-30 mに達するが,西之島から離れると急速に減衰する。 しかし,海底地形の影響により小笠原諸島付近で再び波高が高まる。
[参考文献] 1) 東京大学地震研究所「ひまわり8号による西之島2019-20年噴火の観測」第146回火山噴火予知連絡会資料. 2) 東京大学地震研究所「西之島噴火に伴い発生する可能性がある津波について」, 2014年7月, リンク 3) 東京大学地震研究所「2018年インドネシア・クラカタウ火山噴火・津波」, 2019年1月15日, リンク 4) Kawamata, K. et al. (2005) Model of tsunami generation by collapse of volcanic eruption: the 1741 Oshima-Oshima tsunami. In Tsunamis: cases studies and recent development (Satake, K., ed.), p79-96. 5) Maeno, F. and Imaumra, F. (2011) Tsunami generation by a rapid entrance of a pyroclastic flow into the sea during the 1883 Krakatau eruption, Indonesia. JGR, 116, B09205.
図2. 防災科学技術研究所のAQUA-CMT解による2019年山形県沖の地震の震源メカニズム(地図中、青の震源球)、3次元地下構造モデル(Koketsu et al. 2012)を用いた地震波伝播シミュレーションから再現された各観測点の揺れ(青色破線)と観測波形記録(灰色線)の比較。計算および観測波形には、周期12.5-100秒のバンドパスフィルターをかけた。
謝辞:防災科学技術研究所のAQUA-CMT解カタログと広帯域地震観測網F-netの観測記録を利用しました。地震波伝播シミュレーションは3次元差分法によるオープンコードOpenSWPC(Maeda et al. 2017)を利用しました。
参考資料: 1) 東京大学地震研究所・熊本大学教育学部,霧島火山新燃岳2017年10月11-14日噴火の噴出量(速報).火山噴火予知連絡会資料,2017年10月14日. 2) 気象庁,霧島山(新燃岳)の火山活動解説資料.平成29年10月14日18時15分発表. 3) 東京大学地震研究所・早稲田大学,霧島新燃岳2017年10月12日,14日噴火の火山灰について.火山噴火予知連絡会拡大幹事会資料.2017年10月17日. 4) Bonadonna, C. and Costa, A. (2012) Estimating the volume of tephra deposits: a new simple strategy. Geology, 40, 415-418.
謝辞:
防災科学技術研究所の降灰データ2)を使用させていただいた。また,降灰調査は霧島ネイチャーガイドクラブ古園俊男さんに協力いただいた。
参考資料:
1) 熊本大学教育学部,霧島火山新燃岳2017年10月11日噴火に伴う降灰量(速報),火山噴火予知連絡会資料,2017年10月12日.
2) 防災科学技術研究所火山研究推進センター,新燃岳2017 年10 月11 日〜12 日噴火の降灰調査結果.http://www.bosai.go.jp/saigai/2017/pdf/20171013_02.pdf
3) Bonadonna, C. and Costa, A. (2012) Estimatting the volume of tephra deposits: a new simple strategy. Geology, 40, 415-418.
4) 東京大学地震研究所,霧島火山群新燃岳2017年噴火の上空観察.火山噴火予知連絡会資料, 2017年10月13日.