大都市圏地殻構造調査研究 

関東山地東縁地殻構造探査の実施について





東京大学地震研究所(所長 山下輝夫)は、文部科学省が実施している「大都市大震災軽減化特別プロジェクト」の一環として、地震動(強い揺れ)の予測を行うために、「大都市圏地殻構造調査研究」(研究代表 東京大学地震研究所教授 平田 直)を、京都大学防災研究所、防災科学技術研究所などと連携して実施しており、同研究のサブテーマの一つとして、10月から「関東山地東縁地殻構造探査」を実施します。


1. 地殻構造探査の目的

南関東地域にはフィリピン海プレートが沈み込み、陸側プレートとの境界部には、関東地震(1923年: M7.9)を引き起こした震源断層が位置しています。また、関東山地北東縁には関東平野北西縁断層帯などの活断層も位置しています。本探査では人工震源を用いて、特に以下の事柄を明らかにするため探査を行います。

(1)フィリピン海プレート上面の形状と物性の解明

(2)強震動伝搬の媒体となる地殻の地震波速度構造の解明

(3)プレート境界面から派生する断層や主要構造線の形状など地殻構造の解明


2. 地殻構造探査の内容

 神奈川県小田原市北部から関東山地東縁の相模湖、埼玉県入間郡名栗村、秩父郡東秩父村、深谷市西部を経て、群馬県勢多黒保根村付近までの、全長約165km区間で、反射法地震探査を行います(図1測線図参照)。このうち、小田原市北部、相模湖から青梅市西部および深谷市西部から群馬県勢多黒保根村付近までの区間では、バイブロサイス(大型起振車)により人工的な振動を地下に投射し、地下深部から反射してくる弾性波(反射波)を稠密に展開した多数の受振器(地震計)により記録し、地殻の詳細なイメージングを行います。
実験期間の後半には、測線全域に受振器(地震計)を50mから100m間隔で稠密に設置し、バイブロサイスや火薬による弾性波震源を用いて、マントル上部から地殻におよぶ構造を明らかにするための屈折法・広角反射法地震探査を実施する予定です。


3. 探査期間

平成15年10月16日から12月上旬


【参考】

「大都市圏地殻構造調査研究」の概要
 文部科学省では、平成14年度から、「大都市大震災軽減化特別プロジェクト」を実施しています。このプロジェクトは4つの研究開発課題から構成されておりますが、「大都市圏地殻構造調査研究」はその一つです。
 地震発生源の特定が難しい関東平野南部などの大都市圏において、阪神・淡路大震災級の被害をもたらす大地震を発生させる仕組みを解明するため、大規模な地殻構造の調査研究を行い、これに基づき、高精度の地震動予測(長期評価、強震動評価)を行うための断層モデル等を構築します。
 地震調査研究推進本部の方針を踏まえ、原則として、首都圏と近畿圏を対象とした調査研究を行います。

図1. 関東山地東縁地殻構造探査 測線図

図2. 陸上における反射法地震探査の概念図と観測機材




 
本件に関する問い合わせ先

東京大学地震研究所 大都市圏地殻構造調査研究推進室(大大特推進室)
Tel 03-5841-8271 (午前10時−午後4時30分)  Fax 03-5689-7234


東京大学地震研究所 地震予知研究推進センター 助教授 佐藤比呂志
E-mail satow@eri.u-tokyo.ac.jp


東京大学地震研究所 地震予知研究推進センター  教授 平田 直 
E-mail hirata@eri.u-tokyo.ac.jp