3.10.4 いわき猪苗代湖測線での総合観測

2011年東北地方太平洋沖地震の後,日本列島では大きな余効変動が観測されており,それに伴い活発な地殻活動が観測されている.そのため,東北大学をはじめとする全国の大学や研究機関と共同で,東北地方から関東地方にかけての地域において,地震観測,地殻変動観測,地球電磁気観測等,さまざまな分野にわたる総合観測を継続している.ここでは,東北日本弧の地殻・マントル構造を明らかにするとともにレオロジーモデルを構築し,得られたモデルに基づくシミュレーションを行い,シミュレーション結果と観測データとの比較を通じて,今後の内陸地震や火山噴火の発生ポテンシャルの評価を目指す研究を行っている.地震観測においては,いわき市から猪苗代湖にかけての50点の観測点の設置と観測の継続をするとともに,地球電磁気学的観測も進められている.今後は,測線が日本列島を横断するように,来年度以降に猪苗代湖から新潟平野にかけて観測点の移設を予定しており,その候補地の調査と許認可作業を進めた.また,得られたデータをもとに,電磁気観測や地殻変動観測の研究結果と合わせて考えることにより,地殻・マントルの不均質構造の生成原因の推定を行うとともに,この地域における温度・流体量・岩石組成等についても情報が得られることが期待される.