3.10.5 口永良部島における臨時火山観測

口永良部島では、2014年8月の噴火によって山頂付近の観測点が被災し,火山活動の把握に支障が生じていた.さらに、2015年5月の噴火では居住地に達する火砕流が発生し、全島民が島外避難を余儀なくされた.火口付近に人が立ち入ることなく,山頂付近の活動を把握することを目的として,2015年4月と9月に、火山噴火予知研究センター,京都大学,東工大,産総研との共同で,無人ヘリコプターを用いた多項目観測を実施した.山頂付近に設置した地震計では,5月29日噴火直前の地震数が急激に変化したことや9月以降に山頂付近の地震数が徐々に減っていることが確認された.また,山頂近傍で実施した空中磁気・赤外画像・可視画像・火山ガスの観測結果からは,山頂浅部の冷却,噴気活動の低下,火山ガス平衡温度の低下などが観測され,4月に比較して9月の火山活動が大幅に低下していることが確認された.これらの観測結果は,気象庁による火山活動レベルの引き下げや自治体による帰島判断を行うための判断材料として提供された.