3.1.2 地球ダイナミクスの研究

地球ダイナミクスの研究においては地球深部起源と思われる地球科学的現象について,主に数値シミュレーションの手法を用いてモデルを構築し,解明し ている.今年度は前年度に引き続き、地震波トモグラフィーの結果から日本周辺のスラブの形状および温度を推定し,遷移層にあるスタグナントスラブと下部マントルの間に“隙間”があることを別のトモグラフィーモデルを使って示し た.この“隙間”を説明するために沈み込み帯 の前年度の数値モデルを改良し,沈み込むスラブの年代のモデル化などを行った.その結果,“隙間”の起こる原因として(1)日本海の拡大と(2)過去のイザナギプレートと太平洋プレートの境界であった海嶺の沈み込みによって生じる可能性を指摘した.そして現在,遷移層にあるスタグナントスラブの長さを説明できるモデルとして(2)の可能性を指摘した.