2020年から本格稼働が計画されているポスト「京」を有効に利用するため，ポスト「京」で重点的に取り組む社会的・科学的に重要課題が選定されている．その重要課題の一つが「地震・津波による複合災害の統合的予測システムの構築」である．地震研究所はこの重点課題の代表機関であり，海洋技術研究開発機構，神戸大学，九州大学，京都大学の分担機関や，10以上の協力機関とともに，このプロジェクトを推進する．課題は，理工学のシミュレーションを中心とするしたサブ課題と，地震・津波の災害に関わる社会科学のシミュレーションを中心とするサブ課題から構成される．また，アプリケーションの開発の他，システムの実用化を重視する点も特徴である．
本年度は調査・準備期間の最後として，ポスト「京」の性能を引き出すような各種解析プログラムの設計・実装を行った．特に地震動解析プログラムはコアアプリケーションとして選定されており，コデザイン（プログラムの特徴にあったハードウェアの設計と，ハードウェアの特性を活かすソフトウェアの設計）が進められている．社会科学シミュレーションでは，計算以外に，リアルタイムで収集可能な位置情報付きの大規模都市データの利用も図られる．