3.10.3 相似地震

 ほぼ同じ場所で同一のすべりが再現される相似地震は,断層面のすべりの状態を示す指標として注目されている.また,地震の再来特性を考える上で重要な地震である.そこで,日本列島全域に展開されているテレメータ地震観測点で観測された地震波形記録を基に,小規模~中規模相似地震の検出を継続的に行っている.現在は,日本列島周辺に加え,世界で発生している相似地震活動の検出が可能となった.その結果,沈み込むプレートの境界で地震が発生する場所で,相似地震が多数検出された.相似地震群から推定されたすべり速度分布は,各地域のプレート間固着状態を反映した特徴を示している.2004年スマトラ沖地震,2011年東北地方太平洋沖地震の余震域では,本震発生から10年あるいは5年以上経過した現在もなお,相似地震が頻発しており,余効すべりが未だに収束していないことが示唆された.また,本年度は,間欠的にゆっくりすべりが発生する地域や,内陸浅発地震発生域でのすべり推定に向けて,相似地震抽出法及びすべり推定法の再検討を行った.