3.3.3 浅部マグマ活動に関する研究

浅部マグマ活動に関する研究では,マグマ活動の実体を明らかにすることを目標に,含水量測定を中心とした火山噴出物の解析に取り組んでいる.マグマ中の揮発性成分量は火山噴火のポテンシャルとして重要であり,巨大噴火に到る準備過程でのマグマ中の揮発性成分量変化を明らかにする意義は大きい.また,含水量を適切に評価することによって,斑晶鉱物やマグマの液組成を用いた熱力学的温度圧力計の精度向上も期待できる.

2016年度は火山噴火予知研究センター,山梨県富士山科学研究所,常葉大学,静岡大学,熊本大学等との共同研究を実施し,西之島,諏訪之瀬島,伊豆大島,富士山,阿蘇山など,いくつかの活動的火山について,噴火前のマグマの状態を調査した.例えば,西ノ島については,2013-15年噴火の噴出物の解析から,深さ1.5-2 km程度の浅所に噴火前のマグマが脱ガスする場が存在したことを明らかにした.伊豆大島については9世紀以降のいくつかの噴火の噴出物を分析し,含水量と温度について弱い時代変化があることを見出した.個々の噴火の規模とそれらのマグマの組成や斑晶組成の関係についての解析を進めている.