3.12.8 国際共同研究

IPGP との共同研究として,琉球列島におけるサンゴ・マイクロアトールの調査を行った(3.12.7参照).このために,2月にIPGPの研究者が,2-12月に特任研究員が,6-7月には技術職員が来日して,調査地域の選定・サンプルの採取を行った.

JSTによる戦略的国際共同研究プログラム(SICORP)の日米共同研究「ビッグデータと災害」の研究を継続した.米国側はアリゾナ州立大学の研究チームである.2016年度の成果としては,首都直下地震が発生した時の携帯電話網の被害状況を,内閣府の首都直下地震の推定震度情報による停電地域のモデル化と,東日本大震災の際の各基地局のバッテリー保持時間の統計情報による基地局停波の確率予測に加えて,国土地理院による土地建物利用情報を用いた地震時の停電と復電の確率モデルの構築,クラウドソーシングによる基地局情報の活用と,それらのすべてのデータを用いて,時間的・空間的に分析する方法を開発し,その結果をGISを用いて可視化することに成功したことが挙げられる.この成果は,ウイーンで開催されたIEEE ICT-DM2016 国際会議において発表され,本会議における最優秀論文賞を受賞した.

2016年2月12日~14日に地震研究所で国際研究集会を開催した(地震研究所所長裁量経費による).タイトルは「Symposium on Subduction zone earthquakes in Nankai Trough & Japan Trench」であり, 8名の国外研究者を招聘し,合計26件の講演及び32件のポスター発表を行った(参加者約90名).

2016年6~7月にかけて,インド工科大学の学生インターン(理学部によるUTRIP招聘学生),および台湾中央大学の大学院生インターン(JSTさくらサイエンスプログラム)の2名とともに,南海トラフ巨大地震発生帯における深部掘削データと3次元地震探査データを統合し,地下の3次元間隙率および熱伝導率分布を計算した.その結果分岐断層直下の低速度層(高間隙率層)が一様に広がるのでないことが明らかになった.成果を地震学会(10月5日,名古屋)で発表した.

国際深海科学掘削計画(IODP)による南海トラフ地震発生帯掘削(NanTroSEIZE)のプロジェクト調整会議(12月,サンフランシスコ)に委員として参加し,掘削計画の打ち合わせ,および掘削時に実施予定の3次元垂直地震探査(3D-VSP)について、昨年に引き続き,日米欧の関係者で協議した.