次世代をになう大学院生・若手研究者の育成に全所的に取り組むことを目的とし，平成22 年4 月に行われた改組に伴い「若手育成・教育推進室」（以下『育成室』と呼ぶ）が設置された．育成室では，(1) 理学系大学院地球惑星科学専攻の教務，(2) 大学院教育プログラムの企画・立案および調整，(3) 若手育成・教育に関する方針，(4) 学生に対する経済支援，(5) 本学におけるさまざまな教育活動，(6) その他研究所の若手育成・教育に関する重要事項，について地震研究所としての対応を検討・実施している．

　平成28年度も，引き続き毎月1 回の定例の育成室会議（原則として教授会の一週間前の木曜日）を持ちつつ活動した．所外の教育関連の委員会には，理学系研究科教育会議（川勝），地惑専攻教務委員会（竹内，清水，市原），地球惑星専攻幹事会（歌田，武井），地惑専攻大学院入試実施委員（波多野）などのように対応した．また，理学部地球惑星物理学科の講義・演習の担当者の選定などにも組織として適切な対応をとっている．

　具体的な教育活動としては，初年次ゼミナールとして「地震・火山の分布と地形・地質情報から観る日本列島の姿」（担当：市原准教授，望月准教授，折橋助教）を担当した．PEAK「地球科学」の一部担当（市原准教授），駒場全学体験ゼミナール「地球実験室：地震計で火山・海洋波の活動を調べてみよう」（講師：西田准教授，青木助教）の開講をおこなった．さらに，大学院進学ガイダンス（6 月４ 日）の実施，理学部国際インターンシッププログラムUTRIP への参加外国人学部研修生の受け入れ，修士中間発表及び「学生week」の開催（11 月14–18 日），官庁（気象庁，国土地理院，海上保安庁）による進路説明会の開催（2月23 日)などを行った．

　大学院教育の国際化に関連し，理学系研究科が本年度秋から開校したGSGC（国際卓越大学院，Global Science Graduate Course）に地球惑星科学専攻から唯一地震研だけが参加し一名の学生を受け入れた．今後毎年1名の学生を受け入れる予定である．また地震研に所属する大学院生に対し，海外の大学・研究機関に1ｰ2ヶ月滞在し研究をおこなう活動を支援する「地震研究所海外派遣インターンシップ制度」の運用を開始した．さらに，国際室が実施した科学技術推進機構のさくらサイエンスプログラムにおいて，参加のインターンシップ学生にポスター発表の場を提供するとともに大学院入学（留学）ガイダンスを実施した．

　また，地球惑星科学専攻大学院講義のうち「固体地球科学特論」を以下の教員で実施した：特論I ，Sセメスター，講師：田中(宏) 教授，特論III ，Aセメスター，講師：佐竹教授) ， 特論V ，Aセメスター集中，講師：武尾教授，特論VI ，Sセメスター，講師：是永教授（客員）．