3.5.3 活断層-震源断層システム

 内陸地震の長期評価や発生メカニズムを理解するには,地震発生層底部から表層に至る一つのシステムとして活断層-震源断層を理解する必要がある.このため,当センターでは地殻スケールから極浅層に至る反射法地震探査による活断層の地下構造の解明に主眼をおいた研究を,全国の研究者と共同で進めている.2014年度には受託研究「日本海地震・津波調査プロジェクト」・「立川断層帯の重点的調査観測」・「都市の脆弱性が引き起こす激甚災害軽減化プロジェクト:①首都直下地震の地震」・「地震および火山噴火予知のための観測研究計画」の一環として,砺波平野周辺の断層帯,立川断層帯,武蔵野台地東縁において,一部については新潟大学・岩手大学・愛知教育大学などと共同で,高分解能反射法地震探査を実施した.大深度地殻構造探査データと併せて,それぞれの断層の深部形状が明らかになった.富山トラフの南西延長に位置する砺波平野断層帯については,中新世に形成された正断層構造に規制された断層関連褶曲を伴う,震源断層のシステムが明らかになった.

 2012年度から始まった受託研究「立川断層の重点的調査観測」においても,トレンチ発掘調査と浅部の三次元反射法地震探査を実施し,活断層システムを総合的に明らかにする研究を進めている.立川断層北部については,高角の断層面やそれに伴う垂直落差を伴う構造がイメージングされ,変動地形学的な特徴と併せて横ずれ断層としての性格が明らかになった.

 全国規模での日本列島の震源断層のモデル化は,島弧地殻の変形プロセス,内陸地震の長期予測,強震動予測においても重要であり,2010 年から全国の研究者と共同で,地質・変動地形・重力や地震活動などの地球物理学データに基づいた総合的な日本列島の震源断層のマッピングプロジェクトを進めている.2014年度は日本海西部海域の震源断層モデルを作成した.