3.5.4 比抵抗構造探査

 電気比抵抗は,温度,水・メルトなど間隙高電気伝導度物質の存在とそのつながり方,化学組成に敏感な物理量である.これらの岩石の物理的性質は,すべて,その変形・流動特性を規定する重要なファクターであり,比抵抗構造と地震学的諸情報をあわせることで,より詳細かつ正確な情報を抽出し得る.従って,当センターは内外の研究者と協力して,震源域や火山地域スケールおよび列島スケールや周辺大陸縁辺域の比抵抗構造を解明するプロジェクトにおいて,観測法やインヴァージョン手法の開発を含め,中心的な役割を担ってきた(火山噴火予知研究センター,海半球研究センター,観測開発基盤センターとの共同研究).

 2014年度には,表層の不均質に影響されない位相テンソルと磁場変換数を用いた3次元比抵抗インヴァージョンコードを開発し,同コードを用いていわき誘発地震周辺域における3次元構造を明らかにしたほか,より精密な構造決定を目指して九州地方におけるネットワークMT,磁場変換関数,MT観測データのコンパイルを行った.また,来年度に開始を予定している,いわきから越後平野に至るMT観測,四国西部でのネットワークMT観測への準備を行った.