4.1.2 アウトリーチ活動の実績

 (1) 一般公開・公開講義・防災研究フォーラム

地震研究所では,地震や火山の基礎研究,地震火山災害の軽減に関する研究などを直接的に社会に伝達することも重要な責務であると考え,学生や市民を対象に研究所の一般公開を実施している.また,2009年までは一般公開に合わせて公開講義も実施してきたが,2010年度以降は公開講義の開催を2月ないし3月の時期に変更して継続している.2014年度は、東京大学のオープンキャンパスの日程に合わせて,8月に地震研究所の一般公開を実施したため,公開講義も8月に行った.

防災研究フォーラムは,文部科学省科学技術・学術審議会の提言を受けて,地震研究所と京都大学防災研究所,独立行政法人防災科学技術研究所が自然災害を中心とした災害軽減・防御に関する共同研究プロジェクトの立案等の研究体制検討についての基本合意に達して,防災に関わる産官学の研究機関及び事業機関相互の円滑な情報交換を目的として2003年度に発足した.その後,上記3機関が交代で代表機関を務めながら,研究者と防災実務担当者との情報交換・意見交換の促進を目指して,毎年1回,防災フォーラムシンポジウムを開催してきた.2009年度以降では 4回にわたる講演会を実施してきた.地震研究所は幹事会を構成する機関として,積極的のその成功に貢献してきた.

(2) 所外からの問い合わせ・講演依頼等への一元的な対応

社会の関心が高い研究を進めている研究機関として,一般の方からの様々な問い合わせに対応するため,地震研究所ホームページに「問い合わせ」欄を設け,広報アウトリーチ室が窓口となる体制を整えている.また,所外(政府省庁,地方公共団体,防災関係機関,学会,教育委員会,中学・高校)からの講演依頼については,所内の教職員の協力のもと本務である研究・教育活動に支障がない範囲で対応する方針をとっている.

 (3) 見学,ラボツアーの実績

中学生・高校生・大学生・研究者及び地方あるいは国の行政機関,学校教員,関連企業などからの地震研究所の訪問・見学の希望については,極力受け入れる方針で対応している.また,海外の研究機関や行政機関からの来訪者も多い.2014年度は39件,899名の見学・訪問者があり,地震研究所の定番のアウトリーチ活動として定着してきている.

(4) 報道対応及び報道関係者,防災関係者向けの教育

地震研究所における取組みを一般に伝えるためには,ホームページや印刷物の他に,報道機関からの取材に対する対応も大事な役割を果たしている.2012年度以降は,報道関係からの取材依頼や問い合わせについても,広報アウトリーチ室が窓口となって一元的に受けつける体制を整備し,これらの取材依頼や問い合わせに対して,対応が可能と思われる適切な教員に依頼等を受けて貰う形で依頼に応えている.この様な体制を取ることで,報道関係からの取材とその対応について,2012年度以降は広報アウトリーチ室できちんと把握できる状況となっている.一方,観測計画によっては地元自治体,住民の協力・理解を求める事が必要なものもあり,それらの実施予定や重要な研究成果などは,発表者や本部広報と緊密な連絡を取りながら,それぞれの内容に応じてプレスリリースや記者会見等の適切な手段を選んで報道対応をしている.

(5) その他

大型タッチパネル 2 台と対話型リッチコンテンツ統合環境を用いて,研究所の概要や研究成果ハイライトを視覚的に伝える表示システムを作成し,コンテンツの拡充に努めている.学会に参加する研究者,学生・生徒へのアウトリーチとして,これまで日本地球惑星科学連合大会,日本地震学会,国際学会 (EGU,AGU,AOGS,IAVCEI等) に,地震研究所としての展示ブースを出展し,研究所の活動や成果,開発機器等を紹介してきたが,2014年度は札幌で開催されたAOGSの総会にブースを出展しアジア地域への地震研究所の宣伝に努めると同時に,アジア地域からの留学生の受け入れ促進を探る事を試みも進めている.