期間限定 東京大学地震研究所 「日本沈没」と地球科学に関するQ&Aコーナー


Q65.地震といえばナマズ、日本以外でも、地震の前兆を動物が知覚できるのか、研究されていると聞いたことがあります。映画の田所博士の研究室にも猫がいたので注目していましたが、あの大惨事の前も最中も、まったく動ぜず、我関せず、という態度でした。あの猫には「ここにいれば大丈夫」という確信があったんでしょうか(笑)。動物が地震を予知できるかという研究以外に、動物に、このような判断をする力があるかどうか、研究はされていますか?

A65.田所博士の猫(五右衛門という名前です)も、夏目漱石の小説「我輩は猫である」のように、人間の行動をじっと観察していたのではないでしょうか。

 さて、動物が「ここにいれば大丈夫」という判断が出来るかどうかについては、少なくとも地震予知に関係した研究では聞いたことがありません。しかし動物が地震を予知できるかどうかという研究と関係はしています。たとえば「動物が騒ぐと地震が起きる」ということを確かめるためには、(1)動物が騒ぐと地震が起きる、(2)動物が騒いでも地震が起きない、(3)動物が騒がなかったが地震が起きた、(4)動物が騒がないと地震が起きない、という4つの組み合わせを調べ、確かに動物が騒ぐと地震が起きるということが確からしいことを示す必要があります。猫が動じなかったことは、上記のうち(4)を示しているのでしょう。これも動物と地震との研究に含まれます。

 もっとも、動物が地震を予知できるかについて客観性のある研究は非常に難しいため、現在までうまくいった研究はありません。先頃急逝した、元大阪大学の池谷先生は動物が騒ぐのは電磁気の影響であると考え、地震と電磁気との関連について研究を進めていました。地震と電磁気現象に関する研究は多く実施されていますが、地震の前兆となる信頼性の高い信号はいまだに見つかっていません。

池谷先生の本

 池谷元伺著「地震の前、なぜ動物は騒ぐのか」 NHKブックス