期間限定 東京大学地震研究所 「日本沈没」と地球科学に関するQ&Aコーナー


Q80.桜島の灰の下で育ったのでよく分かるのですが、火山灰があれだけ降れば、目や口を開けるのは非常に困難です。でも平気であけているのが気になりました。
 (別の方のご質問)劇中、火山灰が相当量降り積もっているにも関わらず、誰一人としてマスクをしたりハンカチを口にあてるといった行為をしていないのはなぜですか。また、火山性有毒ガスは一切発生していないのですか?現在の三宅島の状態から考えてもありえないことだと思いますが・・・

A80.その通りですね。何気なく映画を見ていると気づかないのですが、火山灰の経験がある方がご覧になると、マスクをつけていないのが気になるのでしょう。火山灰というのは、木や紙を燃やしたときに出る灰のようなものではなく、噴火によって空中に吹き上がった細かい岩石のかけらやマグマが破砕されたものです。顕微鏡で見ると細かいガラスの破片のような形をしているものも多くあります。このような火山灰を吸い込むと呼吸器障害を起こしたりするため、マスクをして外出することが必要です。この点については、静岡大学の小山教授が下記のホームページで指摘をしていますのでご覧下さい。

 http://sk01.ed.shizuoka.ac.jp/koyama/public_html/etc/opinion/jihyo25.html

 また噴火によって二酸化硫黄(亜硫酸ガス)のような有毒ガスが出るかどうかは、マグマの性質、地下水の状態によって異なるため、一概には言えません。伊豆大島、三宅島、ハワイのような玄武岩質のマグマは大量の二酸化硫黄を含んでいるため、噴火に伴って二酸化硫黄のガスを放出します。現在も活発に溶岩を流しているハワイのキラウエア火山では一日あたり2000トンから3000トンの二酸化硫黄のガスを放出しています。一方、2000年噴火でカルデラが出来た直後の三宅島では、1日に数万トンの二酸化硫黄のガスを放出した時期があります。ハワイでは噴出しているマグマから二酸化硫黄のガスが出てきているのですが、三宅島ではマグマの噴出なしに、これだけの二酸化硫黄のガスを放出しました。これは地下のマグマからのガスの放出が非常に効率的に行われなければ実現しないはずです。三宅島については、下記の気象庁のホームページをご覧下さい。

 http://www.seisvol.kishou.go.jp/tokyo/320_Miyakejima/320_index.html