1)火山周辺の地殻が変形します。
マグマが岩盤を割って押し広げながら上昇する際にまわりの地殻が変形します。粘り気(粘性)の低い玄武岩質のマグマの場合には変形はわずかですが、粘性の高い流紋岩質のマグマの場合には目に見えるくらいの大きな変形があります。例えば有珠山の噴火では、マグマが上昇してくる場所の周辺では多くの割れ目ができて、数メートルにもおよぶずれが発生することが知られています。またマグマの上昇によって、多くの地震が発生することがあります。2000年の三宅島から神津島にかけての火山活動では、大量のマグマが三宅島と神津島の間の海底下に板状に割って入り(貫入し)、周辺の地殻に大きな力を加え、マグニチュード6を超える地震が5回も発生しました。
2)溶岩が流れ出すことがあります。
マグマが地表から噴出して流れ出したものを溶岩と言います。溶岩の流れ方もマグマの粘性によって異なります。粘性の小さい玄武岩質の溶岩は、流れも速く広い範囲に広がります。温度も1100度から1200度もあります。ハワイのキラウエア火山、イタリアのエトナ山、日本の伊豆大島などのマグマはこのような性質があります。それに対して粘性の大きい流紋岩質の溶岩は流れる速度も小さく、ごく狭い範囲にとどまります。温度は玄武岩質の溶岩よりは低いですが、それでも800度くらいはあります。北海道の有珠山や九州の雲仙普賢岳の溶岩はこのような性質があります。ただ、流れの速い玄武岩質の溶岩であっても、溶岩の広がる速度は遅く、溶岩から逃げることは容易です。しかし、逃げることのできない建物は大きな被害を受けます。
3)火山灰を噴出します。
急激な噴火によってマグマやマグマ周辺の岩石が細かく砕かれて空中に吹き上げられたものを火山灰と呼んでいます。灰と言っても木や紙を燃やしたときにできるふわふわとしたものではなく、細かい石でできています。火山灰は、細かいため高空まで吹き上げられ、広い範囲に降り注ぎます。降った火山灰は地面だけでなく、屋根の上や樹木の上にも積もります。火山灰は雪のようには溶けませんから、屋根に積もった火山灰は人の力でおろす必要があります。雨が降れば流れると考えるかもしれませんが、火山灰が雨を吸収して大変重くなってしまい、その重さで家を潰すこともあります。実際1991年に噴火したフィリピンのピナツボ山の噴火では、おりからの台風によって水を含んだ火山灰が大量に家の屋根に積もり多くの家が崩壊しました。ピナツボの噴火では火山の異常をいち早くつかんで避難したため、火山噴火そのもので亡くなった人はほとんどいないのですが、雨を含んだ火山灰によってつぶれた家の下敷きになって多くの人が亡くなりました。
4)火砕流を発生させます。
火口から噴出した高温の火山ガスや火山灰が混ざりあって火山の斜面を流れ下るものを火砕流と呼んでいます。高温であるだけでなく非常に高速であるため、火山では最も恐れられている現象です。斜面を流れ下るのは、火山灰を大量に含むために、周辺の空気よりも密度が大きくなるからです。また速度が速いのは火山ガスなどの気体を含むために粘性が低くなるからです。流れ下る速度は時速100kmにもなるため、火砕流から逃げることは困難です。長崎県の雲仙普賢岳では、1991年の噴火で溶岩ドームが崩れるときに火砕流が発生し、火山学者、報道関係者、消防関係者ら40人以上が亡くなりました。
5)火山が崩れることがあります。
マグマの上昇によって火山体が変形したり、近くで大きな地震があった場合には火山の一部が崩壊することがあります。日本で有名なのは福島県の磐梯山です。磐梯山は1888年の火山活動で大崩壊をしました。北側に流れ下った土砂は、川をせき止めて現在の桧原湖をつくりました。桧原湖のあった場所にはもともと村落があったのですが、移住を余儀なくされたという悲しい歴史があります。また岐阜県・長野県境にある御嶽山は、1984年に山のすぐ南側で発生したマグニチュード6.8の地震により山体の一部が崩壊しました。崩れた土砂は谷を流れ下り、途中にあった温泉宿をひと飲みにしてしまいました。火山体は、噴火した火山灰や溶岩が幾重にも重なってできたもので、不安定なものであることを忘れてはいけません。