期間限定 東京大学地震研究所 「日本沈没」と地球科学に関するQ&Aコーナー


QQ11.地殻をミシン目のように穴だらけにして引きちぎろうと言う荒業には驚きましたが、実際地殻が崩壊しながら分断されたとして、数千メートルの海底に900度以上のマントルが露出し、そこに100気圧(?)前後の海水が触れた場合、水蒸気爆発を起こしてそれ以上の大災害を引き起こす可能性は無いのでしょうか?日本列島の東南側の地殻を数百キロ分断するのですから、核爆弾以上の破壊力を持つ爆発が起こっても不思議では無いように思うのですが・・・?ちょっと原子力発電所のメルトダウンの逆の感じを想像してしまうのです。大丈夫なんでしょうか?


AA11.物質は、その物質がおかれた温度と圧力の条件でいろいろな状態になります。水は、1気圧の圧力のもとでは、摂氏0度以下で固体、100度以上で気体となります。

 ご質問に対するお答えですが、2段階でお答えしましょう。

まずマントルが露出するかどうかです。マントルは固体ですので、たとえ近くを爆破してもマントルそのものが上昇して露出することはありません。マントルが溶けて出来たマグマが割れ目を伝わって上昇することはありそうです。その場合でもおそらく1000度を超えたマグマと水が接触することになるでしょう。

 次に、その時に水はどうなるかです。小野寺を乗せた潜水艇わだつみ2000は、潜水艇の限界深度を遙かに超えて潜りました、深さは4000メートル近くでしたので、水圧は400気圧程度となります。水には気体と液体の区別がなくなる臨界点という温度・圧力があり、374度、218気圧です。したがって、わだつみ2000が潜った深海では水は液体と気体とが区別のつかない状態になっています。その場合密度は半分程度に下がります、そのために対流は起きますが周囲の海水と混ざってしまい、結局水蒸気にはならないと思われます。実際、大西洋中央海嶺などでは海嶺でマグマが上昇し、海水と触れていますが、大規模な水蒸気爆発は起きていません。しかし、想像を絶するマグマが海底に噴出するようなことがあったら大水蒸気爆発を起こすかもしれません。どの程度のマグマが必要かという点に関しては、実際に実験や計算が必要となり、現時点ではよくわかりません。