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古村孝志
東京大学地震研究所
〒113-0032 文京区弥生1-1-1

地震動の大規模数値シミュレーション

地震波の伝播シミュレーションでは、運動方程式と応力ーひずみの構成方程式を、差分法などの数値計算により行います。複雑な地下構造を細かくモデル化した大規模計算では、大きな計算量が必要になるため、数百〜数千個のCPUを用いた並列計算を行います。

並列計算では、3次元計算領域を多数のブロックに分割して、各ブロックの波動伝播計算をCPUに割り当てます。各CPUは独立に計算を進めますが、隣のブロックに波動が伝わるように、データ通信を行う必要があります。

CPU数が多くなると、データ通信量が増え、錯綜するために計算時間が次第に遅くなってしまいます。並列計算効率を高め、より多くのCPUを用いて計算速度を高めるための計算コードの最適化の努力が必要です。

このほか、最近の高性能計算機には、「ベクトル型」と呼ばれるもの(たとえば、海洋研究開発機構の地球シミュレータなど)と、「スカラー型」と呼ばれるもの(たとえば、東大情報基盤センターT2Kスパコン(東大版)など)の2つがあります。実は、地震動シミュレーションに用いる差分法という計算手法は、ベクトル型計算機によく適合して、高い性能(理論性能の40〜50%以上)を引き出すことができますが、スカラー型計算機では理論性能の数%程度しか得ることができません。これは、CPUとメモリとのデータ転送速度の問題です。

2011年末から一部運用が予定されている「次世代スパコン(理化学研究所)」のように、今後は、スカラー型のCPUを数万個以上(推定)結合した超並列計算機が主流となるため、現在の地震波伝播シミュレーションの差分法コードの改良を進めています。100,000CPUまでの大規模並列計算のめどを得ることができましたが、メモリとのデータ転送を減らすための差分計算アルゴリズムの改良や、キャッシュメモリの活用の工夫をいっそう進めるために、計算科学者、コンピュータハードウエアの専門家らの協力を得て研究を進めています。

[1] 古村孝志, 差分法による3次元不均質場での地震波伝播の大規模計算, 地震2, 61,印刷中, 2009.
[2] 古村孝志, 地震波伝播と強震動の大規模並列FDMシミュレーション, 東京大学情報基盤センタースーパーコンピューティングニュース, Vol11, pp.35-63, 2009. pdf 6MB
[3] 古村孝志・齊藤竜彦,地震―津波連成シミュレーション,日本計算工学会編,超ペタスケール・コンピューティング,1.5章, 丸善出版,印刷中, 2009.

Last update: 4 July. 2009

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計算領域分割(Z方向)に基づく並列計算の模式図。各分割領域を計算機ノードに割り当て、ノード内はOpenMP等での並列、ノード間はMPIを用いた、ハイブリッド並列計算。

並列地震波伝播シミュレーションの計算効率。CPU数と演算速度(FLOPS)を、地球シミュレータ(ES)、新型地球シミュレータ(ES2)、T2Kオープンスパコン(東大版)で測定。