東大地震研:古屋正人、大久保修平、田中愛幸、加藤照之
名大理:木股文昭、奥田隆、宮島力雄
高知大理:田部井隆雄
(概要) 神津島は、フィリピン海プレートの運動から予測される他の伊豆諸島の動きとは明らかに異なった動きをしていることが知られている(木股ほか1999)。またシントレックス重力計を用いた複数回の精密測定の結果からも、島の北東部を中心に年間最大30マイクロガルを越える減少が報告されている(小林ほか2000)。こうした状況を踏まえて、地震研究所重力グループは2000年3月3日から5日に、神津島で、FG5による絶対重力1点とLaCoste&Romberg G型重力計2台(G581,G875)による相対重力19点のハイブリッド測定を行っていた。
2000年6月末に始まった三宅島・神津島周辺の地震・火山活動による重力変化を、神津島でも捉えられれば、貫入マグマの位置、体積などに関する情報を得られるだろう。
2000年9月19日、20日の二日間で、LaCoste&Romberg G型重力計2台(G581,G875)で、島内の11点で相対重力測定を行った。絶対重力測定は、絶対重力計が三宅島にあるため今回は行っていない。相対測定の点の数が減っているのは、土砂崩れのために観測点にaccessできない点が多かったためである。それでも11点も2日間で出来たのは、ヘリコプターによって島内を移動したためである。
(結果と議論) 下の図の数値が今回の結果で、2台の測定結果の重み付き平均(G581、G875の測定精度を10、15マイクロガルとした)である。背景のColorのコンターは、GPSデータの7月から8月の累積変化量を説明するモデル(加藤ら2000;地震研談話会)に基づいて計算した重力変化である。Colorbarの単位はマイクロガルである。
コンターからの予想では、全島的に−30マイクロガルほどの変化があり、島内だけでみた変化量は小さい。相対測定の結果をみても、予想通りで、島内での相対変化は小さかった。しかし、北東部の+9.0マイクロガルや、南部の-9.5マイクロガルは、開口割れ目モデルによる予測値と実測値とがよい一致を見せているようである。
GPSグループによれば、神津島島内だけでも、30cmを越える水平運動の変化が捉えられている。今後、GPSデータに加え、絶対重力測定、3月に測定できたが今回は出来なかった北東部の他の点での測定も行えば、神津島付近の開口割れ目の詳細が解明されよう。
(謝辞) 神津島村観光協会に、絶対重力測定のために船客待ち合い所の一室を使わせて頂くなどのご協力を頂いた。東京都総務局災害対策部
宮崎務氏、神津島村役場 石田修治氏、ならびに東京都大島支庁神津島出張所には島内入域規制区域への立ち入りにつき便宜をはかって頂いた。記して謝意を表する。