技術職員からのメッセージ(応募を考えている皆様へ)

日本列島は世界で最も地震・火山活動が活発な地域の一つです.2011年1月には霧島山が294年ぶりにマグマ噴火し, 3月11日には千年に一度といわれる東北地方太平洋沖地震が発生しました.このような中で,地震研究所は「観測固体地球科学分野を中心とする最先端研究を推進し,地震・火山現象について新たな理解への道を切り拓いて,災害軽減に貢献すること」を使命として活動しており,更に研究機関に向けた情報発信や,社会に向けての教育普及・啓発活動も行っています.技術職員も研究者達と共に,上記の使命を担うべく業務に従事しています.具体的には,地震や火山活動に伴った様々な現象の観測や,観測・実験研究に必要な機器の開発や情報流通基盤整備などです.このような多様な業務の中から,我々の主な仕事について以下にご紹介します.
なお、 技術部ホームページ にも業務紹介や観測風景の写真がありますのでご覧下さい。
2015/04/20 更新
2014/04/15 更新
2011/12/13 作成

目次(入所の新しい人順)

安藤 美和子(2014年06月入所) 総合観測室
竹内 昭洋 (2014年04月入所) 技術開発室(実験系)
西本 太郎 (2013年04月入所) 総合観測室
浦野 幸子 (2011年04月入所) 技術開発室(開発系)
阿部 英二 (2009年10月入所) 総合観測室
外西 奈津美(2009年04月入所) 技術開発室(分析系)
渡邊 篤志 (2007年04月入所) 総合観測室



 安藤 美和子 (2014年06月入所)   総合観測室 技術職員

入所前はどのような仕事・研究をされていましたか?

大学院工学系研究科にて大気化学分野で修士号を取得後,研究員として産業技術総合研究所の計測標準研究部門に勤務しておりました.産総研では大気観測に用いる二酸化炭素標準ガスの開発に携わっており,ガスクロマトグラフィー,フーリエ変換赤外分光光度計,磁気式酸素計,キャビティリングダウン吸収分光器を用いた微量ガスの成分分析や,大質量精密天秤を用いた質量比混合法による標準ガスの調製に従事しておりました.

あなたの業務内容を教えてください

観測業務は,おおよそ陸域・海域・火山の3つの分野に分けることができます.入所1年目は教育期間ということで,どの分野の業務も一通り経験することになります.私の場合,入所後の10か月間で以下の業務に携わりました.
  • 定常地震観測点の点検・保守(栃木県,福島県)
  • 地殻構造探査(石川県,富山県)
  • 臨時地震観測(栃木県,長野県)
  • 海底地震計の設置と回収,海底の構造探査(東北沖,房総沖)
  • 定常地震観測点の新設(高知県)
入所後1〜3か月は,栃木県や福島県の定常地震観測点の点検・保守業務にて,先輩職員から現地で観測データの伝送方法や地震観測点の構成,使用している地震計について教えて頂きました.

2か月目には石川県および富山県で行われた地殻構造探査に携わり,沿道の決められたポイントへの地震計の設置作業に従事しました.その後,栃木県と長野県にて,地震の余震活動を観測することを目的とした臨時の地震観測に携わりました.臨時観測では,地震発生直後に臨時の観測点設置に必要な地震計やデータ収録装置などを準備して現地に赴き,車で現地を移動しながら地震計の設置に適した場所を探します.設置に適した場所を見つけたら土地所有者と土地貸借の交渉を行い,土地貸借の許可が下りたら臨時の観測点を設置します.臨時観測が数か月に及ぶ場合は,バッテリーの交換やデータの吸い上げなどの保守作業のために,臨時観測点の設置から撤収までの間に数回現地に出張することもあります.

5か月目には初めて海域の業務を経験し,約10日間の航海で房総沖および東北沖における海底地震計の設置と回収作業に携わりました.船上での業務は,その独特の勤務体制や美しい海の風景や船上生活など,陸上の業務とはまた異なる刺激があり,飽きることはありませんでした.

9か月目からは,高知県における定常観測点の新設業務に携わっております.設置場所を決めるところから始まり,地震計台の構造をどのようにするか考え,工事の見積もりを依頼し,役所への各種申請手続きを行うなど,業務は多岐に亘りますが,経験豊富な先輩職員からのフォローがあり,また気軽に相談できる環境なので,不安に感じることはありません.

この他には,所外研修として気象庁で開催された地震火山業務処理技術研修に参加したり,業務に必要な資格(フォークリフト,クレーン,玉掛け)を取得するために教習所に通うなどしておりました.


設置した臨時地震観測点.写真中央の岩のくぼみに地震計を固定し,浸水を避けるため,岩の上にデータ収録装置を収めた箱を設置してあります.

これまでの業務で印象に残ったことを教えてください

入所後4か月目に初めて臨時地震観測に行ったときのことです.住宅地から離れた山の中で,「熊に注意!」の看板に内心ビクビクしながら熊鈴を鳴らしつつ観測点を設置したのは,忘れられない思い出です(幸いにも熊と直接対面することはありませんでした).その後,回収した観測データを利用して余震の震源決定を行い,その結果を8か月目の職員研修で発表しましたが,何気なく利用されている観測データには,技術職員の汗と涙が詰まっているのだなと実感しました.

応募を考えられている皆様へのメッセージ

私のように,入所するまで地震観測と全く接点がなかった職員も多く在籍しております.観測に関する経験や知識は入所後に身につけることが可能です.少しでも技術職員の業務内容に興味がありましたら,ぜひ応募をご検討ください.



 竹内 昭洋 (2014年04月入所)   技術開発室(実験系) 技術職員

入所前はどのような仕事・研究をされていましたか?

大学の研究員として,地震や火山噴火といった地殻活動と関連する電磁気的現象の研究をしていました.そのメカニズムを解明するために室内で岩石試料を変形させた際の電気的振る舞いを計測したり,実際に野外で地磁気や地電流を観測したりしていました.

あなたの業務内容を教えてください

本所には,その目的に応じた大小様々な室内実験装置があります.教員からの要請に応じて実験室や実験装置のメンテナンスを行なうことが,時間的に最も大きな業務になっています.それら装置を使った実験を行なう際には,その準備・装置の操作・後片付けといった技術的な支援もします.また,既存の実験装置を改良するために,新しい治具をデザインしたり,最近バージョンのソフトウェアで制御プログラムを組み直したりしもしています.


岩石試料を上下方向と左右方向から押し,挟み込んだ岩石ブロックをゆっくりと滑らせる実験装置.新しい制御用PCとLabVIEWプログラムを導入し,長期間検証しようとしているところ.

これまでの業務で印象に残ったことを教えてください

本所の実験装置は,最新鋭のものから私より年寄りなのではと思えるものまで様々です.古い論文で概念図を見たことがある装置がまだ現役でいるのを見ると,「おお,これがあの装置か」と何だか感慨深くなる気がします.また,何年も使われなくなっている状態の装置を見ると,何とか復活させてやりたいと思ってしまいます.


地下10-20kmの高温高圧環境を模擬した条件で岩石試料を圧縮破壊させる実験装置.年に一度の法定検査が欠かせない.写真右に見える丸い圧力容器は,外径が約50cmで肉厚が約15cm.それに対して,中に入れる岩石試料のサイズは直径が20mmで長さが40mm.

応募を考えられている皆様へのメッセージ

応募を考えられてこのサイトをご覧になっている貴方は,既に本所の技術職員として重要な「何か」を持っておられるのではないでしょうか.それは,地球科学全般に関する知的好奇心であったり,観測や実験をするのにあるとチョット便利な何かの技術的知識や経験であったり,ひょっとすると業務を遂行する上での仲間とのコミュニケーション能力や何かもっと漠然とした人柄の良さのようなものであったりするかもしれません.貴方のその「何か」を本所で活かせる場面が必ずあります.仕事ですから楽しいことばかりではありませんが,業務で関わる研究に進展のあるのを目の当たりにすると,自分自身の技術的貢献に大きな充実感を覚えること間違いありません.



 西本 太郎 (2013年04月入所)   総合観測室 技術職員

入所前はどのような仕事・研究をされていましたか?

大学院修士課程で地球惑星物性学分野の研究室に所属しており,地球内部のマグマ物質に関する研究を行っていました.大学院修士課程修了後,地震研究所の技術職員として入所しました.

あなたの業務内容を教えてください

私は2015年4月時点で入所3年目であり,様々な分野の業務に携わることが出来ています.入所初年度では主に地震計の原理やデータ収録の仕組み,観測点からのデータ送信の方法など地震観測に関する基礎の部分を学ぶことが出来ました.入所2年目からは海域の地震観測や地磁気観測が主な業務内容となり,その他に陸域の観測や火山観測で少しずつ経験を積んでいます.


八ヶ岳地球電磁気観測所における地磁気絶対観測の様子.磁気儀という精密な装置を使用して地磁気の構成データの観測を行っています.雪の降る寒い時期でも行っており,毎月の観測の積み重ねが重要です.

これまでの業務で印象に残ったことを教えてください

入所して1年目は観測とは何かを把握するのが大変でした.ひとえに観測といっても皆様はどのようなことを想像されるでしょうか?観測とは正しく「測定」し,正しく「記録」し,正しく「伝送」することです.何か1つでも分からないことがあれば正しく「観測」出来ているか分かりません.また,トラブルがあった時どこが悪いのかを見つけることが出来ません.そういった意味でも入所してすぐは右も左も分からない状態でした.

入所して2年目になり,先輩職員と観測点のメンテナンスに行き,別々で作業をする機会がありました.入所したての頃は聞かなければ分からなかったことが,少しずつ知識と経験を積み理解が深まってきたことにより,ようやく1人で作業が出来るようになりました.また,観測は自分の思い通りにならないことが多々あります.それは地球を相手に仕事をしているからです.雷や台風で機器が故障することもありますし,原因不明の機器トラブルもあります.しかし重要な観測を「途絶えることなく続けていく」ために,持っている知識で解決出来るよう努力します.何も分からない状態で入所しましたが,自分の力で問題を解決した時の達成感は非常に大きなものでした.


衛星回線を使用した地震観測データの伝送のため,機材の調整を行っている様子.携帯電話が通じにくい場所やインターネット回線がない場所でも重要な観測が行われており,地震観測データは地球を飛び出て宇宙にある衛星経由で東京まで送られてきます.

応募を考えられている皆様へのメッセージ

私はこれまで観測に関わる作業をほとんどしてきませんでした.ただ大学院の研究時代、新規の実験装置を組み立てたり調整したりすることが非常に楽しかったのを覚えています.皆様の中には「こんなものを作ってみたい」,「あんなものがあったらいいな」と考えている方もいるのではないでしょうか.頭の中では想像出来ても,いざそれを実現しようとすると1から10まで全てを知っていなくてはいけません.技術職員という仕事は観測の1から10までを知っている必要があり,そんな好奇心,向上心のある方には非常にやりがいを感じる職場だと思います.



 浦野 幸子 (2011年04月入所)   技術開発室(開発系) 技術職員

入所前はどのような仕事・研究をされていましたか?

印刷機械メーカーの研究開発部門で,印刷資材に関する基礎開発や,機械の挙動解析などを行っていました.

あなたの業務内容を教えてください

地震研究所の研究者が観測・実験で使用する機器を製作しています.観測・実験で使用する装置は,もちろん市販のものもたくさんありますが,「今までに例のない新しいことをしたい」「既存のものではちょっと使い勝手が…」というときに研究者の求めるものを提供するのが私たちの仕事です.機械工作部門と電気工作部門があり,私は主に電気関連を担当しています.


観測に便利なように,センサ,バッテリー,ロガーをひとつに組み込んだ装置. 充電回路,放電制御回路も装置内に収まるように製作した

これまでの業務で印象に残ったことを教えてください

製作した機器を使用する観測に同行する機会があります.自分たちが考え,作り上げたものが,どのように使用され,どのような結果をもたらしたか,その全てに関わり見届けることができる職場は一般的な企業では中々ないと思います.

応募を考えられている皆様へのメッセージ

今までの経歴が地震や火山に関わるものでなくても,興味があるならばためらうことはありません.技術者として,研究者とは別の視点で研究上の問題を解決する仕事をしてみませんか.

装置を使用して,実際に観測している様子



 阿部 英二 (2009年10月入所)   総合観測室 技術職員

入所前はどのような仕事・研究をされていましたか?

大学院(博士後期課程)の工学系(電気系)研究室で気象関連のレーダーに関わる研究を行っていました.観測に関連することをしていた,という以外には地震や火山などの分野と全く接点がないところでした.

あなたの業務内容を教えてください.


夕日を浴びながら船の甲板上で投入されるのをじっと待機している海底地震計たち.
現在,私は海域における地震観測の分野を主な仕事としています.地震や火山の研究においては,事象源にできる限り近づいて観測することが重要です.平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震やこれから起こると危惧されている東南海・南海地震などは海底下のプレート境界で発生する地震であり,海域での地震観測が重要となります.しかしながら,海底で地震を観測するということは簡単なことではありません.海底は何百気圧という水圧がかかり,さらに電源もあるわけではなく,人が容易に行けるようなところではないのです.

そういう意味では宇宙へ行くのと同じくらい過酷です.地震研究所では,このような過酷な状況下で長期に渡り確実にデータを取得するため,信頼性の高い海底地震計を開発してきました.それは水深6000mの水圧に耐えられるチタン合金製の容器に,電力密度が高い電池を搭載し,1年間の長期観測が可能な自己浮上式海底地震計です.

広大な海をカバーするため,海底地震計を一度に数十台規模で展開・運用するのですが,我々技術職員は海底地震計を一台一台丁寧に確実に整備していきます.少しでも不備があれば,観測データが取得出来ていなかったり,海底地震計が浮上しなくなったりします.海域の観測というのは,その過酷な環境から一切の妥協が許されない観測なのです.ちょうど,人工衛星を一つ一つ手作業で作り上げていくのに似ていると思います. 海底地震計は船で現場海域まで行き,投入することで設置されます.投入直前の最終チェックは我々が最も緊張する瞬間です.一旦投入されれば,あとは無事にデータを収録し浮上してくることを願うだけとなります.そして,数ヶ月から1年程度の観測期間が終了した後,海底地震計は回収されます.回収の際には,作業船から海底地震計へシグナルを送り,海底から地震計を浮上させます.しかしながら,船の目の前に浮上してくるという保証はなく,目を皿にして広い海面を隈無く探さねばなりません.無事に海底地震計を回収し,観測データを取り出せたとき,ようやく重い肩の荷が下ります.

船での作業は,連日天気が良くてスムーズに進むこともありますが,一旦海が荒れると作業に危険が伴うことになります.また,船酔いにかかってしまうと,食べることもままならなくなります.どうすることもできない自然の影響を大きく受けるのが観測の特徴でしょうか.

海底地震計の投入風景
「頑張ってデータを取ってきておくれ!一年後にまた会おう!」

これまでの業務で印象に残ったことを教えてください

海底地震計の整備は生半可なことでは出来ません.設置のときも回収のときも緊張の連続です.もちろん,無事に設置したり回収できたりすることだけでも,やりとげたぞ!という気持ちになりますが,他大学や他の研究機関の皆さんと共に観測に従事したときは,規模の大きさと相まって,達成感も非常に大きいものになります.

船に乗って海へ出ると,海と空だけの景色が毎日毎日続きます.もちろん携帯電話など通じず,インターネットも繋がりません.船酔いなどをすればたいへんです.普段の生活からするとキツく,なんともつまらない生活のように思われます.しかし,360度見渡す限り水平線という世界は壮大な景色です.それが何日も続くのですから,如何に海が大きいか,自分がどれだけ小さな存在なのかを全身で感じられます.しかも,海や空は常に違う表情をしています.凪の状態の穏やかな表情を見せていたかと思うと,白波を立てて荒々しくなることもあります.朝焼け,夕焼けのときは特に言葉に出来ないほど美しい表情を見せ,陸上にいるときとは別格なものです.さらに,イルカが船と並んで泳いでくれることもあり,仕事中の緊張の反動か感動も大きくなります.これらを見られるのは船に乗った者の特権です.この感動がまた海へと駆り立てる原動力になっています.

応募を考えている皆様へのメッセージ

人間が地球を飛び出して宇宙へ行く時代ですが,実は足下にある地球のこともよく分かっていないことばかりです.観測データを取得していくことで,地球の新たなる発見へ繋がっていくのです.しかしながら,観測というものは容易ではなく困難の連続です.だからこそ,“自分の手で”それに立ち向かって乗り越えていくことに大きな価値があるものと思います.



 外西 奈津美 (2009年04月入所)   技術開発室(分析系) 技術専門職員

入所前はどのような仕事・研究をされていましたか?

高知大学で古海洋学に関する修士号を取得後、産業技術総合研究所の地質情報研究部門において契約職員として働いていました.そこでは,安定同位体比質量分析装置・走査型電子顕微鏡・蛍光X線分析装置などを用いて,海洋底堆積物の各種化学分析業務に携わりました.

あなたの業務内容を教えてください.

地震研究所においては,主に岩石試料の化学分析業務に取り組んでおり,研究者からの依頼に応じて試料を調整して,最適な分析装置を用いた化学組成の解析を行っています.

クリーンルームにて溶液化した岩石試料から必要な元素のみ分離・採取している作業風景

預かる試料はその形状・性質ともに多岐にわたりますが,そのサンプルの状態を見極め,要求される分析精度の結果を提供する為に、分析手法の最適化や分析装置の保守管理なども行います.また、所内外の研究者及び学生への分析サポートも業務の一つです.

私が担当している分析装置は,
  • XRF(蛍光X線分析)
  • EPMA(電子プローブエックス線マイクロアナライザ)
  • SEM(走査型電子顕微鏡)
  • ICP-MASS(誘導結合プラズマ質量分析法)
  • ICP-AES(高周波プラズマ発光分析装置)
等です.

電子プローブエックス線マイクロアナライザ
GEOL社製 JXA-8800

その他,所内における薬品管理や環境安全に関わる業務にも携わっています.

これまでの業務で印象に残ったことを教えてください

2011年1月に始まった霧島山新燃岳の噴火活動に関する業務が印象に残っています.噴火直後に現地へ赴いた研究者から毎日のように試料が送られてきました.それらの試料の分析結果は、噴火活動の推移を検討する上での重要な指標の1つとなります.出来る限り迅速な分析が求められる一方で、分析結果にミスのないよう心掛けた連日の業務は大変なことでした.しかしながら,噴火という自然現象はもちろんのこと,火山の足下で暮らす人々の生活と自分の業務が深く関係していることを実感した出来事でした.

応募を考えられている皆様へ

地震研究所に入所する前までは地震・火山といった自然現象に一般的な興味以上のものは持っていませんでしたが、研究分野で化学分析に関わる仕事がしたいと思い私は応募しました.海から陸へと研究対象は変わりましたが、分析装置を用いて化学分析を行うという未知の物へのアプローチの仕方では同じだといえます.貴方も自分の持つ技術を活かし、研究の一翼を担う仕事に挑戦しませんか.



 渡邊 篤志 (2007年04月入所)   総合観測室 技術専門職員

入所前はどのような仕事・研究をされていましたか?

九州大学地震火山観測研究センターに在籍して,火山の観測・研究で博士号を取得しました.その後,同センターの非常勤研究員として火山や地震の観測を精力的に行っていました.

あなたの業務内容を教えてください.


平成新山溶岩ドーム山頂での火山ガス観測
火山での地球物理観測が主な業務内容です.地震研究所は浅間山,伊豆大島,富士山,霧島山に火山観測網を展開しているので,これらが主なフィールドになります.

火山では地震計の他にもGPS受信機,傾斜計,磁力計,空振計,可視・赤外カメラや各種測量器などの多種多様な機器を使用しています.山頂部では電力線や通信線が引けないので,太陽電池パネルによる発電や無線LANやデータ通信端末を使った通信手段を採用しています.

各観測点には計測機器と通信機器が設置されていて,それらの保守作業や観測点の新設,機材の管理などに携わります.観測点の中には車輌では近付けない所も多数あり,機材を背負っての山歩きもしばしばで,体力もそれなりに必要です.その他,ガス観測や岩石試料採取などの物質科学的な調査のサポートをすることもあります.先に挙げた4つの火山に限らず,火山噴火が発生すると必要な機材を持って出掛け,全国の大学,研究機関,気象庁などと協力しながら臨時観測に従事します.

これまでの業務で印象に残ったことを教えて下さい

2011年1月に始まった霧島山新燃岳の噴火です.日常的に噴火している桜島を除けば,本格的な火山噴火の現場に赴くのは2000年の有珠山以来でした.日々変化する活動状況に生きている地球を感じると同時に,観測データは研究だけでなく火山防災にも利用されるので,身の引き締まる思いでした.また,地震研究所の業務ではありませんが,他機関からの要請で南極での地震観測に参加したことは,特に印象深い仕事の一つです.

応募を考えられている皆様へのメッセージ

火山は地球の活動を肌で感じられる場であり,多くは風光明媚な所でもあります.そのような都会の喧噪を離れた場所での野外作業はとても気持ちが良く,準備や後片付けといった長く地味な苦労が報われます.また,火山の周りには温泉が多く,夏には作業の汗を流し,冬には冷えた体を温める…こともあります.さぁ,一緒にフィールドへ出掛けましょう.


浅間山火口縁にて火口内を観察・撮影する技術職員