本文へスキップ

Hiraga Lab, Division of Earth and Planetary Materials Science, Earthquake Research Institute,The University of Tokyo

東京大学 東大 toudai東京大学地震研究所

〒113-0032 東京都文京区弥生1-1-1

研究内容RESEARCH

平賀研

宮崎が出した「超塑性」は、上述したように、数々の意外な「おひれ」がついた。その最たるものが、オリビン結晶が「超塑性」時に「並んだ」ことである。この結果には、ぶっとんだ。「並ぶ」とは、オリビン粒子のある特定の結晶軸が岩石の変形方向に配向することである。多くの人が「並ぶ」ことに興味を持つ理由は、オリビンは結晶学的に支配された強い弾性異方性を持ち、マントル内の地震波速度異方性は、そのオリビンが「並ぶ」ことで、よく説明されるからである。結晶軸配向とマントルの流れの関係が分かれば、マントル対流のパターンが分かるということで、多くの研究者がその問題に取り組んできた。その前提に、 転位クリープ(応力と歪速度の関係が非線形)下では「並び」、拡散クリープ(応力と歪速度の関係が線形)下では「並ばない」、というのがある。つまり、マントル異方性の有無は、マントルの変形メカニズムのみならず、マントルの流体としての性質まで教えてくれるのである。しかし、である。宮崎は、その数十年来の常識を軽く壊してしまった。。。これまた当の宮崎は、そんな結果は当然、という風であった。
 あまりに(僕には)衝撃的な結果であったので、公表するにあたって、慎重に慎重に「こと」を進めた。もう、さすがに誰にも文句を言われない、という実験結果が積み上がった時点で、論文としてまとめた。「並ぶ」事実を知ってから、4年以上経っていた。
 面白いのは、「超塑性」(ここでは、応力と歪速度の関係が線形と同義)が発現しても、「並ぶ」、「並ばない」ときがある。微細構造を一見して分かったのは、オリビンの形が、変形の有無に関わらず、伸びているとき(異方粒の形成)に強く「並び」、コロコロしているとき(等方粒)「並ばない」。このオリビン粒子形は、結晶学的に支配されており、変形中の粒界すべりが、ある特定の結晶面に平行な面で起きる場合に「並ぶ」。これを様々な実験結果から推定できた。オリビン形は、温度によって支配されていることも判明した。それに基づいた、オリビン形深度マップなるものを、太平洋下の上部マントルに適用したところ、偶然?にも、マントル異方性が観測される部分とされない部分に対応してしまったのである。
 コロコロオリビンとノビノビオリビンで説明される地球内部は、ただの空想上なのか、それとも本質なのか?投稿した論文の結果は。。。受け入れがたい話だが、文句は言えません(かなり意訳ですが)とレビューワーは白旗を挙げ、無事、Nature誌に掲載された

オリビン 変形 CPO かんらん石 結晶軸選択配向

Fig14. 高温下での圧縮 (compression)および引っ張り (tension)実験後のオリビン粒子の結晶方位分布。1250℃ を境に、低温下ではランダムもしくは弱い結晶軸集中が見られ、高温下では、オリビン[010]軸 の圧縮方向、[100]軸 の引っ張りへ方向への強い集中が観察された。本実験条件では、応力‐歪 速度が線形の関係を持ち、上部マントルがニュートン流体として流動する場合でも、強い結晶軸選択配向が生まれることが示された。

将来テーマ
コアから地殻まで、地質学、岩石学、鉱物学、鉱物岩石物理学、地球化学、地震学的なもの多々あるので、興味があれば是非聞いてください。


バナースペース

平賀研究室

〒113-0032
東京都文京区弥生1-1-1
東京大学地震研究所2号館
413号室 平賀 岳彦

研究室ご希望の方

受け入れについて、こちらをご覧ください

アクセス

ACCESS MAP
東京大学 弥生キャンパス内