東京大学地震研究所(所長 平田直)は、文部科学省が実施している「ひずみ集中帯の重点的調査観測・研究」(研究代表 独立行政法人防災科学技術研究所・関口渉次)の一環として、新潟県など東北日本の日本海側の地域において「反射法・屈折法による地殻構造調査」を、平成20年度より5ヵ年にわたり実施しています。その目的は、ひずみ集中帯の活構造の全体像を明らかにし、震源断層モデルを構築することです。平成22年度は、6月に「東山‐三島測線」において地殻構造探査を実施します。

1. 地殻構造探査の目的

東北日本の日本海側の地域及び日本海東縁部は褶曲-断層帯を形成しており、多くの被害地震が発生してきました。歴史的には1964年などの新潟地震(M7.5)が、近年では2004年新潟県中越地震や2007年新潟県中越沖地震が発生しています。こういった内陸地震に伴う強い揺れを精度よく予測するためには、活断層-震源断層の深部形状を明らかにすることが重要です。本調査では新潟県三島郡出雲崎町大字勝見の海岸を基点として、海側の約15kmおよび福島県境付近に至る陸側の約55kmの、全長約70kmの調査測線において反射法・屈折法による地殻構造調査を行います。これにより、震源断層の位置と形状を明らかにし、発生する地震の強震動を予測するための基礎資料となる地下構造を調査します。

2. 地殻構造探査の内容

調査測線は、海岸を基点に海側の約15km区間と陸側の約55km区間から構成されます。各区間の測線位置および概要は下記のとおりです(添付した資料1「測線図」を参照して下さい)

・海域区間
新潟県三島郡出雲崎町大字勝見の海岸を基点とする西北西方向の約15kmの直線区間。このうち海岸から約6km区間について海底敷設型受振ケーブルを設置します。
・陸域区間
新潟県三島郡出雲崎町大字勝見の海岸を基点として、東南東方向に東頸城丘陵を越え、長岡市市街地の北側を通って平野部を横断し、魚沼丘陵を南東方向に越えて魚沼市高倉に至り、さらに国道252号線沿いに福島県境付近の魚沼市大白川に至る約55km区間。 地殻の詳細なイメージングは、人工的な振動を地下に投射して、地下深部で反射あるいは屈折して地表に戻ってくる弾性波(反射波・屈折波)を解析することで得られます。人工的な振動には、海域では水中音波発震装置、陸上ではバイブロサイス(大型起振車;資料2参照)や火薬を使用します。これによる弾性波を、稠密に展開した多数の受振器(地震計)によって記録します。

3. 調査期間

平成22年6月10日〜平成22年6月26日(17日間)

資料1 「東山−三島測線」測線図

資料2 バイブロサイス